嚥下食メニューコンテストで最優秀賞を獲得した 宮城島 宏さん 松林在勤 40歳
隠し味は利用者の声
○…おいしくない、見た目がよくない、病気の人が食べるもの―。こうした嚥下食(えんげしょく)のネガティブなイメージを払拭すべく日々調理場に立つ。松林ケアセンターの管理栄養士として嚥下食のレシピを開発し、このほど全国規模のコンテストで最優秀賞を獲得した。「これをきっかけに嚥下食の魅力を発信していきたい」
○…食事がしにくくなる「嚥下障害」の原因は、筋肉の衰えや認知症、脳梗塞に伴う麻痺などさまざまある。「原因に応じて柔らかさや細かさを微調整する必要があるが、実は10年ほど前までその事実を知らなかった」と話す。きっかけとなったのはある女性の施設利用者。自信を持って作った食事に一切口をつけなかったことがショックだった。食べない理由を調べる中で嚥下障害について学び、その後は試行錯誤の日々。苦心の末作りあげた嚥下食を、その女性に食べてもらえたときのうれしさは忘れられないという。
○…小学生の頃から料理好き。特にホットケーキを使った創作料理は思い出深く、親に振舞って反応を見るのが楽しかったという。食に携わろうと栄養専門学校に入学し、卒業後は福祉施設での栄養士の道へ。22歳で調理場の責任者となったことを機に、利用者の声を聞き始めた。「最初は辛口コメントばかり。調理場の外に出るのが怖かった」というが、意見を取り入れるうちに調理の腕をあげていった。
○…「施設は料理店と違い、食べてもらわなくてもお給料は貰える。でもそれじゃいけない」と語る。そんな思いが伝わったのか「利用者が厨房まで来て今回の受賞を祝ってくれた」と満面の笑みを見せる。これからも利用者の意見を「隠し味」として加えながら、誰もがおいしく楽しめる食事づくりを続ける。
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