茅ヶ崎市美術館の「國領經郎展」に 写真家として携わる 相澤 實さん 松浪在住 76歳
まっすぐ向き合う
○…砂丘や砂浜を舞台に数多くの絵画作品を残してきた國領經郎(こくりょうつねろう)(1919〜1999)。そんな稀代の画家を撮影したのは、今から遡ること30年ほど前だった。自邸で柔和な笑顔を浮かべる肖像写真が、7月から茅ヶ崎市美術館で始まった『生誕100年 國領經郎展』に花を添える。「茅ヶ崎にも来て絵を描かれていたみたいで、印象的なものが多い」と被写体の作品を評す。
○…高校でカメラを手にして60年、写真家として独立してからも半世紀が経とうとしている。「当時、カメラは高価なもので心惹かれた。写真屋さんも儲かっていたし」と、日大藤沢高校の写真部へ。大学卒業後は公務員になったものの、すぐに日本写真専門学校へ通い直した。そして24歳で帝国ホテル内の写真スタジオへ再就職。同僚だった今の妻と結婚し、ある人間国宝の女性が住む八丈島へ新婚旅行。そこで撮った肖像写真が作品展で入選したのを機に、28歳で独立した。
○…以来、司馬遼太郎、遠藤周作、城山三郎、山田洋次、黒川紀章などそうそうたる文化人たち500人以上の肖像写真をカメラにおさめてきた。「みなさんがかわいがってくれて、いろんな人を紹介してくれた」。人物写真の撮影のコツを問えば、「人ではなく背景から入る。この顔をどこに置いたら最も引き立つのか」と笑って見せた。
○…堂生まれ。母の実家があった茅ヶ崎で「アイザワ写真館」を営み、藤沢にある日本大学湘南キャンパス内にもスタジオを持つ。幼少期は病弱だっだが、芯は強い。学生の証明写真から文化人を後世に伝えていく写真まで仕事はさまざまだが、「いいものを残してあげたいんだよ」。レンズ越しのその思いはまっすぐだ。
|
<PR>