松竹で撮影監督を長年務め、茅ヶ崎映画祭のトークショーに出演する 中橋 嘉久(よしひさ)さん 中海岸在住 80歳
レンズから届けた映画の美
○…7月23日(土)まで開催中の茅ヶ崎映画祭。10日(日)、茅ヶ崎館で行われる松竹の元プロデューサーで映画監督の斎藤次男さんとのトークショーに出演する。「カメラマンとして培った知識を生かして、斎藤監督の苦労話やエピソードを引き出したい」と意気込む。
○…京都市生まれ。小学生から野球を始め、高校は強豪・平安高校に進学したが「練習がとにかく厳しくて。実力的にも上には上がいると知った」。進路に迷っていた時、知り合いの松竹関係者に誘われ、太秦の京都撮影所へ。「俳優もスタッフも楽しそうに歩いていて普通の会社とは違って見えた。面白そうだなと」。高校卒業後、同社に入社した。
○…雑用や小道具を経て撮影助手に。21歳で松竹大船撮影所へと異動となった。1年で10作品を撮影するなど過酷なスケジュールだったが「楽しくて辞めたいと思ったことはなかった。生まれ変わっても、もう1回やりたい」。20年に及ぶ「下積み」を経て、1983年の火曜サスペンス劇場で撮影監督デビューし、映画やドラマおよそ70本を担当した。「きれいに撮るにはその人を好きにならなあかん」と、鶴田浩二さんや八千草薫さん、夏目雅子さん、岩下志麻さんら名だたる俳優と信頼関係を築き上げ、名作を生み出してきた。映画の魅力を「実際の人生では経験できないことを、スクリーンで見られること」と語る。
○…48年前、娘が生まれたのを機に茅ヶ崎に。現在も解説や講演で各地に赴き、茅ヶ崎映画祭では実行委員を務めるなど、映画に関わり続ける。「今は本当に楽しい」と生き生きとした表情を見せる。「舞台の演出もやってみたい」と尽きない好奇心を生かし、これからも表現の世界を突き進んでいく。
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