「田舎会」で郷土料理の指導を行う 岡崎 文江さん 堤在住 79歳
郷土の伝統 継承し伝える
○…県立茅ケ崎里山公園には昔の里の民家を再現した「谷の家」がある。開設の際、施設を有効活用するために立ち上げられたのが「田舎会」。不定期で季節の食材を使った料理を昔ながらの方法で作っている。土のかまどからポカポカと煙が立ち上る様は民話の世界そのもの。約20人のメンバーは普通の主婦ばかり。指導役として立ち上げ当初から関わっており「かまどの火おこしも、最初はおっかなびっくり。10年経って随分上達しました」と柔和な笑みを見せる。
○…平塚市片岡の米農家に生まれた。戦後の食糧増産計画で忙しい両親に代わり、5人兄弟の長女として手伝いに励む中、祖母から家事や行事の作法の一切を教わった。「粟のご飯が炊けたら一人前」と口癖のように繰り返されたが、「結局一度も満足に炊けなかったわ」と目尻を下げる。思い出深いのは蒸した赤飯。「地域のお祝い事でしか食べられなかったけど、本当に美味しいの」と口に手を当てフフフ。
○…結婚を機に茅ヶ崎市南湖へ。保育園を利用しつつ自身も保育園調理職として働き、さらには県の食生活改善推進団体や茅波会に所属。茅ヶ崎市学びの市民講師は初回から登録し、調理指導に尽力してきた。母親クラブわかば会では郷土かるたを制作。何足もの草鞋を履く生活ながら「皆が健康でいてもらうために」という気持ちはいつも変わらない。「気を付けているのはバランス良く食べることだけ」と謙遜しつつも「お陰様で家族に大病なし」と胸を張る。
○…たまの休みに行く旅行が息抜き。「国内旅行は郷土歴史家の夫の解説付き」と気恥ずかしげも幸せそうなほほ笑み。「日本には郷土料理などたくさんの伝統、良さがある。受け継ぎ、次の世代に伝えていきたい。それが私の夢なんです」
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