「湘南ビジネスコンテスト」でスタートアップ賞を受賞した 大西 裕太さん 元町在住 33歳
本を通じて安らげる場を
○…うつと休職の経験をもとにしたオリジナル企画で「湘南ビジネスコンテスト」でスタートアップ賞を獲得した。提案したのは「話せるシェア本屋 とまり木」。本棚の1マスを借し出し、地域のみんなで本を共有する「シェア本屋」と、悩みや取り留めのない話もじっくりと聴いてもらえる「保健室」のような居場所を見事にマッチングさせた。コロナ禍もあり、人との触れ合いの場が減る中、「社会に必要な事業」と評された。「今までみんなに支えられてきたのでうれしい」
○…経理担当だった会社員時代、仕事のやりとりはメールやチャットという人間関係の希薄さや、仕事の重責によって心身ともに不調が出た。「帰りの満員電車の中で『そういえば今日も一言も言葉を発しなかった』と気づく日が続いた」と吐露する。転機になったのは、休職中にチガラボで出会った人から「実は悩みがあって…」と相談されたこと。「自分の経験も誰かの役に立っている。悩んでいる人の気持ちをふっと楽にできるそんな存在でありたい」
○…「自分も病気になる手前で気軽に相談できたり、安らげる場があれば、深刻にはならなかったはず」と居場所の必要性を痛感。そんな中、「書店に立ち寄ること」が拠り所になっていたことや、書店なら誰でも気軽に立ち寄れて、本をきっかけに心を通わせられる可能性に気づいた。6月にチガラボ内で「とまり木」を始動した。
○…妻と2歳男児の3人暮らし。「父親になってから『子どもが成長した時の茅ヶ崎は』と長いスパンで街を見るように」と微笑む。来春、市内にオープンする店舗では「放課後、子どもが立ち寄れるように読みきかせや紙芝居もできたら」。口調からやさしさがにじみ出る。
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