大理石造りの純白石像
12年に1度、丑年に開帳される秘仏「木造白衣観世音菩薩坐像(もくぞうびゃくえかんぜおんぼさつざぞう)」を本尊とし、相模西国三十三観音巡りの第20番札所として知られる天台宗明王院(平塚市徳延365/遠藤宏信(こうしん)住職)に先月29日、一人の檀家から身の丈ほどもある立像が寄進された。総大理石で造られた珍しい純白の仏像は、参拝者の話題を呼んでいる。
明王院は室町時代に創建された500年ほどの歴史を持つ寺院。本尊の白衣観世音菩薩坐像も室町時代に制作されたもので、法衣垂下(ほうえすいか)形式の佳作として昨年12月に市指定重要文化財に指定されている。
その際、3日間の特別公開が行われ、「2年前のご開帳には市内外から多くの方が訪れましたが、特別公開の時はそれを上回る700人ほどの方がいらっしゃいました」と遠藤住職は話す。また、同寺には年末や年始になると多くの檀家も参拝に訪れている。
そうした中、「来てくださった方に安らいだ気持ちになって欲しい」という信心深い一人の檀家から寄進されたのが、大理石で作られた「石仏白衣観音像」だ。高さ2・4mの巨大な立像で、大理石の塊から手作業で削り出されている。
「2年前、制作費を負担するので立派な像を作って欲しいというお話を頂き、1年前から具体的に動き始めました」と遠藤住職。石材店に相談し、「せっかくのご厚意、御影石や銅板などありきたりの物にしたくない」と、素材には白衣の名に相応しい真っ白な大理石を選んだ。
事前に彫ってもらった小さいサンプル像を檀家に見せたところ、「これは素晴らしい」と、とても喜んだという。早速、石像造りが盛んな中国の厦門(アモイ)市へ発注。「仏像は顔が命」と、住職自ら現地へ様子を見に赴くこともあった。
像周りなど細部にもこだわった。夫人にも意見を貰いながら、像を置く台座が石塔のようなイメージにならないよう、あえて石の凹凸感を生かしたデザインにしたり、説明文を石碑ではなくプレートタイプのものに刻んだりした。そこには「堅苦しいものではなく、訪れてきた人が一目見て入り込めるような柔らかい雰囲気のものにしたかった」という思いがある。
こうして完成した白衣観音像は、受ける西日や見る角度などで様々に表情を変える。「ずっと眺めていても飽きないね」と、早くも参拝者の心の拠り所になっているようだ。「ご本尊と共に、皆様の安らぎになっていただければ」と、遠藤住職は話している。
平塚版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
地域に喜ばれる駅ビルに5月9日 |
|