平塚市教育委員会は先月20日、妙楽寺(田村5の13の2)所有の「木造閻魔王坐像」を市内39件目、仏像では12件目の市指定重要文化財に指定した。閻魔像としては珍しい作例だという。
像は高さ99・6cm、幅115・5cm、奥行き76・1cmという等身を超す大法量の本格的造顕。専門家の調査から中世彫刻の余風を残す優れた作風で、県内でも希少であるとして市重要文化財に指定された。
現在は妙楽寺の山門上に安置されおり、普段は扉を閉じているため見ることは出来ない。江戸時代編さんの『新編相模国風土記稿』によると、当時の村内に閻魔堂が存在したことから、その本尊であったのではないかとみられている。
像底から見える体幹部前材下側にある墨書には「文禄4年(1595)」の年紀と、「佛士(仏像を彫った人)長芸」の名が記されている。市社会教育課文化財保護担当によると、これだけ古い物で像造年代が入っているものは珍しいという。藤沢市の花応院所有の石造閻魔大王坐像もほぼ同時期と推定されているが、こちらは像造年代が記されていない。
妙楽寺の閻魔像は持ち物(笏(しゃく))や冠飾がなく、一部欠失部や表面に後から色を塗り直した跡が見られるものの、本格的な彫技からは作者の高い技量がうかがえる。室町時代の像に見られるような量感に富む体形と、近世期のやや誇張の勝った面貌表現を併せ持つ作風となっている。
江戸時代制作の閻魔像は比較的多く残っており、市内でも吉祥院や清雲寺、円徳寺に作例がある。鎌倉市の円応寺が所蔵する閻魔像が県内で最も古く、県重要文化財に唯一指定されているが「県内では円応寺に次ぐ古さではないか」と、文化財保護担当は話している。
市社会教育課では、6月上旬に閻魔像の特別公開を予定している。
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