2014年の幕開けにあたり、本紙は落合克宏市長に年頭の単独インタビューを行った。市長は、ツインシティ大神地区まちづくり計画の経済効果を強調し、今年取り組むべき施策についても語った。(聞き手/平塚編集室・沼田繁)
――新年度の予算編成の見通しをお聞かせください。
「市税は微増と見込んでいます。4月からの消費税率の引き上げで地方消費税の交付金は増加しますが、支出増加の要因もあることから、財源不足額が見込まれています」
バラめぐりと健康長寿に意欲
日産跡地も都市計画決定へ
―歳出の見通しはいかがでしょうか。
「少子高齢化に伴って社会保障関係経費は毎年上がりますので、こうした介護保険、国民健康保険への繰り出しなどは増加します。また、平塚は施設の多いまちですから、過去に整備した施設の長寿命化のための経費もかかります」
―「アベノミクス」の経済波及効果の兆しは感じられますか。
「まだ先だと思います。これから消費税率が上がった時に購買意欲がどのように変化するのか、その中で、市内企業がどこまで利益を上げていけるのかというのは気になるところです」
―市内工場の撤退も心配です。
「企業の施設整備・機械装置の導入等に対する助成や、創業のための資金融資の施策など、企業支援を引き続き実施する中で、さらに、この地でのものづくりに魅力を感じてもらえる政策が必要であると考えます」
―ツインシティ計画は地域経済にどのような影響をもたらすとお考えですか。
「2014年度にはさがみ縦貫道路が開通し、それに接続する湘南新道のうち国道129号からパイロット線の区間では、早期整備に向けて県が用地買収にか かっています。16年度にはツインシティから3分程度のところに新東名高速道路の厚木南インターができる予定です。人やモノの流れが円滑になることで、産 業・生活拠点としてのポテンシャルも高まり、経済効果、雇用促進、人口増などが期待できます。ツインシティ大神地区土地区画整理組合の設立準備会では、イ オンモールと大和ハウス工業を立地企業予定者に選定しています」
―新駅誘致の状況はどうでしょうか。
「リニア中央新幹線が2027年に開通を目指していますが、JR東海はリニアが現在の『のぞみ』の役割を担い、東海道新幹線のダイヤに余裕ができれば、 東海道新幹線側に新たに中間駅を設置することができるのではないかという前向きな話もしています。大神地区と寒川町倉見地区を結ぶ新橋も県が27年までに 作る意向を示しています」
―計画は今年、どのように進めますか。
「2014年度は、都市計画決定、環境アセスメント手続き、大神地区土地区画整理組合の設立認可まで進めたいと思っています。平塚を持続可能なまちにし ていくために、ツインシティのまちづくりは必要であることを地権者の方に丁寧に説明し、一人でも多くの方の同意を得ていきたいと思います」
―日産車体跡地の土地利用は現在、どのような状況にありますか。
「日産車体から昨年1月、都市計画提案が出されました。提案では工業、商業、住宅、医療・福祉の4つの地区に分けて土地を使うということが示されていま す。大型商業施設もできますから、交通渋滞をどうするのかなど、関係機関と協議を進めています。その進み具合にもよりますが、今年夏ごろを目指して都市計 画決定をしたいと考えています」
―都市計画提案で、宅地や商施設の部分はどのような想定なのでしょうか。
「住宅は、戸建住宅と集合住宅を合わせて300戸くらいです。大型商業施設は広域型ショッピングセンターが想定され、早期の開業を目指して手続きが進められています」
―商業施設の名称は「ららぽーと」を想定していると聞きますが。
「選択肢の一つとしてそのような想定があることは私のほうでも伺っています」
―見附台周辺地区の土地利用についても一昨年、整備方針を策定されました。
「民間の力や資金を借りてどれだけできるかというPFIの可能性や施設の構成・規模等の検討を進めている段階であり、今年度末までにその方向性を考えていきます」
―行財政改革は今後、どう進めますか。
「昨年は(2012年度に構想日本を招いて行った)事業仕分けの成果を基に職員による庁内評価を行いました。職員が自分たちの事業を再チェックし、事業 が必要なのかという根本的なことを含めて自主評価したというのは職員の意識向上、事業の見直しの視点強化につながるものと思います」
―その庁内評価で、役人自身が自前の事業を否定することができるのでしょうか。外部評価が必要という声もありますが。
「より効率的・効果的に事業を推進していくとともに、事業の廃止、縮小も視野に入れた改革が行政には求められているものと考えます。昨年の庁内評価を踏 まえて、来年度の検討をしているところです。行財政改革を推進するための委員会など、外部の目も入れながら、事業評価をしていきたいと考えています」
―新庁舎建設では当初100億円を想定していた建設費が、昨年12月の増額補正予算も含め現在125億円まで膨らんでいます。
「12月の補正予算は、東日本大震災後の資材の高騰、技能労働者の不足など、契約上どうしても増額処理が必要になることからです。そうした内容をしっか りと市民の皆さまに説明し、防災拠点機能も強化された免震構造の新庁舎で、市民の皆様の安心安全な暮らしを支えてまいります」
――経済活性、人口増加に向けての取り組みはどのようにお考えですか。
「ツインシティにおいて新しいまちづくりをすることによって、企業誘致などによる交流人口を増加させ、雇用の促進や産業活性、税収増加などの経済の好循 環を生み出していきます。ツインシティ計画では居住人口は3千人、就業人口は6千人くらいを想定しています。日産車体跡地も住宅が約300戸、大型商業施 設で買い物する交流人口、物の流れなど、相当な経済効果が出てくるはずです」
―今年の抱負についてお聞かせください。
「就任以降、三大事業やツインシティの整備をはじめ、日産車体跡地や見附台周辺の土地利用、湘南海岸公園の再整備計画と、平塚の発展へとつながるハード 面における事業が進展しました。そして現在、道路インフラ整備が進んでいることをチャンスと捉え、平塚の”元気度”がアップするようなまちづくりを進めて まいります」
―特に取り組みたい事業は何でしょう。
「今年はバラや健康長寿をキーワードにしていきます。バラは平塚の特産品の一つです。昨年整備した駅南口噴水広場のほか、八幡山の洋館、総合公園、花菜 ガーデンと、バラの名所が市内にあり、バラめぐりを楽しめるようなまちづくりに取り組みます。またスポーツ振興計画を見直しています。平塚は施設も多く、 スポーツのしやすい環境です。スポーツを介護予防にも生かし、健康長寿のまちを目指します」
―今年5月で任期は残り1年です。今後はどのようにされますか。
「まだ任期はありますので、一生懸命責務を果たしていくつもりです。市長選に名乗りを上げた時に87項目のマニュフェストをお約束しましたが、市長として実施してきました施策や取り組みを今年の夏あたりに外部の方に評価していただこうと思っています」
取り組むべき今年の抱負を語る市長
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