タウンニュースは新年を迎えるにあたり、落合克宏市長に年頭の単独インタビューを行った。市長は、日産車体湘南工場第一地区跡地やツインシティをはじめとした土地開発、道の駅構想など、まちづくりについて思いを語った。(聞き手/本紙平塚編集室編集長・沼田繁)
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――昨年は株価も上がり、景気が上向きつつあると言われていますが、市内経済環境はいかがでしょう。
「景気回復の波が今後どういう形で地方につながるのかということは、年末の衆院選でも問われました。昨年は4月に消費税が上がり、円安などによる資材の高騰も波及しています。政府の経済政策の影響で株価は上がり、賃金上昇の動きも見受けられますが、個人消費の回復は鈍く、地域経済としてはまだまだ厳しい部分があると思います」
日産跡地やツインシティ語る 落合市長「人口増に大きく期待」
――安倍政権の掲げる経済政策「地方創生」はどのように期待していますか。
「『まち、ひと、しごと創生』ということなので、経済の活性化や人口増、雇用の確保、地域包括ケアシステムの構築などにつながるよう、規制緩和を含め、各自治体が地域に見合った施策を進めることのできる体制が生まれることを期待しています」
――人口増や経済活性の材料として、日産車体湘南工場第一地区跡地など土地開発が控えています。
「日産車体跡地の土地利用については、昨年9月に都市計画の手続きが終了しまして、土地区画整理事業の認可も済ませました。住宅や商業、医療福祉、工業が融合された複合的なまちづくりが進みます」
――跡地には「ららぽーと」になるとされている商業施設もできますね。
「大型ショッピングセンターは順調にいけば、2016年秋頃のオープンになりそうです。そこで一番の課題は、中心商店街との回遊性を作ることです。日産車体跡地周辺には美術館や博物館などの文化施設のほか、馬入ふれあい公園や総合公園もありますので、跡地周辺エリア一体が魅力的な空間になり、これまで以上に人が集まると思います。集まった人を中心街への集客にどうつなげていくのかを検討しているところです」
――市長は昨年12月議会で、海岸エリアの「道の駅構想」について高浜台の湘南海岸公園で整備を検討する意向を示されました。
「龍城ヶ丘プール跡地も候補に考えていますが、都市公園法上、便益施設として使える面積が限られていますから、湘南海岸公園での整備を検討しています。さがみ縦貫道路が今年度末内に全線開通し、首都圏から国道134号線へのアクセスは格段に良くなります。そこで避けたいのは本市を通過されてしまうことです。6次産業化の取り組みで、漁協が千石河岸に地元で水揚げされた魚介類を提供する『平塚漁港の食堂』をオープンさせましたが、周辺の干物やしらす販売にも波及効果が出ていると聞きます。平塚の魅力を発信できる施設は必要と感じます」
――どのような「道の駅」を想定しているのでしょう。
「特産物の販売に限らず、漁業、農業、商業、観光といった平塚の魅力を広く発信する場と考えており、首都圏や北関東などからの集客につながる施設を目指します。さらには、地場産業の振興や地域間交流をはじめ、2020年東京五輪も見据えた観光PRにも役立つはずです」
――ツインシティ大神地区まちづくり計画の進捗状況はいかがでしょう。
「市街化区域編入に関する都市計画や環境アセスメントの手続きが進んでいます。あとは地権者の同意をどれだけいただけるかというところです」
――現在の地権者の同意状況はいかがでしょう。
「12月24日現在、人数では73・1%、面積では66・0%の同意率で、土地区画整理組合設立認可の申請ができる要件(3分の2以上)は満たしていません。まちづくりをスムーズに進めていくためには、8~9割の同意が必要と考えています。より丁寧に説明し、さらに多くの同意を得たいと考えています」
――ツインシティの必要性をどう訴えますか。
「ツインシティは県内の交通網、鉄道網の結節点になると見ています。平塚は駅が一つですが、新幹線新駅や新橋設置をはじめ、圏央道や新東名高速の開通によって、大神地区への容易なアクセスが可能となります。大神地区が本市の『北の核』となることで、商業施設や工場などの企業誘致による雇用の創出や人口増が大きく期待できます」
――寒川町倉見の新駅は見込みはあるのでしょうか。
「新幹線新駅については、リニアの着工を受け、JR東海から『まち』という受け皿があれば(各停機能を持った)新駅を考えると伺っています。また、相鉄いずみの線で、湘南台駅から慶応大学湘南藤沢キャンパスまでの延伸が計画されています。そこからさらに倉見駅までの延伸計画が実現すれば、平塚から車やバスでツインシティ橋をわたり、倉見駅から横浜、渋谷方面へのアクセスが向上します」
――来年度の歳入の見通しはいかがでしょう。
「国の税制改正で地方法人税が導入されました。これは法人住民税法人税割の税率のうち2・6%を国税化し、地方交付税の財源にするというもので、本市にとりましては、数億円規模の減収となります。景気も下振れの懸念がありますので、厳しい状況が続くものと見込んでいます」
――一方、歳出はいかがでしょうか。
「平塚市は2014年1月1日時点で24・1%の高齢化率で、75歳以上は10%以上、今後もますます社会保障費は増えていきます。また、本市は多くの公共施設を有していますから、施設の長寿命化も考えなければいけません。市債をはじめ将来世代の負担を考えながら、老朽化した施設は保全し、福祉政策のベースは維持していきたいと思います。そのためには、税収を生み出す施策に対する予算配分も必要です」
――歳入を生むには人口増が鍵になりますね。
「本市でも社会減や自然減で人口減少が進んでいます。まちの魅力化を図って選ばれるまちにしていかなければなりません。それには、20~40歳の子育て世代を引き込む施策が求められます。また、雇用の確保という観点からも創業や企業融資などへの予算もかけ、経済を活性化させていくことが重要です」
――市民センター改修を含め、見附台周辺の再開発はどのような状況でしょう。
「市民センターは耐震診断をしているところで、年度末には結果が出ます。耐震補強をするのかの判断はそれを待ちます。今までの計画では、民間の力を活かして、文化ホールを含めた見附台周辺地区を一体で整備するという方針でしたが、昨年度実施したPFI導入可能性調査の結果、一体での整備は難しいという結果となりました。そのため再検討を行っており、今年度末までに今後の方向性を示したいと考えています」
――昨年は湘南ベルマーレがJ1昇格しました。今年も期待できそうですね。
「平塚を明るく元気にしてくれました。開幕戦からの14連勝に続き、史上最速J1昇格、J2初優勝など、素晴らしい結果でした。攻守にわたって走りぬく湘南スタイルが最後まで崩れませんでした。来年も今のサッカーの形を貫き、J1でも活躍してくれることを期待しています。Shonan BMWスタジアムもJリーグクラブライセンスの施設基準に適応するための検討を進めているところです」
――今年4月で任期満了の節目を迎えますが、今後の平塚市政に求められるものとはなんでしょう。
「平塚は様々な点で高いポテンシャルを持ち合わせていると思います。それを活かし、『このまちに住みたい、住み続けたい』と人々が思えるまちづくりを進めることが重要です。少子高齢化が進むなか、自治体を維持・発展させていくためには、職があり、子育てしやすく、充実したシニアライフを送れるような施策を進め、選ばれるまちとなることが求められています」
平塚市について語る市長
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