「平塚の空襲と戦災を記録する会」(江藤巖会長)が8月15日、発足以来27年間で集めた証言を整理し、空襲の実態を伝える『市民が探る平塚空襲 通史編I 平塚空襲の実相』を戦後70年の節目に発行する。自身も空襲を体験した江藤会長は「70年間の日本の平和は国の宝です。平和を未来へと引き継ぐため、その一助になれば」と話している。
同会は1989年(平成元年)から、空襲体験者への聞き取りを重ね、数々の証言集を発行してきた。現在まで記録した証言者は250人に上る。同会の藤野敬子さんは「戦後から60年、70年経って、やっと心の傷を語り始めていただいた方も多い」と悲惨な体験を語った協力者の心情を慮る。
発行した通史編では、7月16日の平塚空襲の実像を浮き彫りにするため、被害や避難状況、消火活動の様子などについて地域別に証言を整理。家族との再会や死別、目撃した遺体、生活苦、心身の傷跡といった項目別でもまとめ直した。
これまでの証言から、焼失家屋や死者、焼夷弾の落下を確認した場所を地図に落とし、平塚空襲が二宮町から茅ヶ崎市にいたる広範囲の攻撃だったことを示す「投弾範囲図」も掲載した。藤野さんは「軍需工場だけでなく、まち全体が標的にされたことが分かる。戦争終結の意思を絶つ攻撃だったのでは」と分析する。
博物館学芸員の栗山雄揮さんは「資料を公開するだけでなく、資料の糸を歴史という布に編み上げた成果となった。歴史は炎の下で人々に何が起こったのかを十分明らかにしていません。次の世代に伝える意味で貴重な一冊です」と評価した。
同著は280貢で400円、1000部発行。15日から博物館で販売する。
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