保護者が第2子以降の出産に伴い育児休業を取得した場合に、上の子どもが保育園を退園となる「育休退園制度」について平塚市は、市議会9月定例会で「見直しの方向で検討中」との考えを示した。野崎審也議員、江口友子議員の総括質問で答弁した。
新制度の具体的な内容や時期は未定。市保育課は本紙の取材に対し「他自治体の制度などを参考に来年度の受け入れに間に合うよう進めたい」と話した。
制度見直しの背景として、同課は、各企業における育児休業制度の浸透など、働き方や家庭のあり方が多様化、保育に対するニーズが変化していることを挙げた。「待機児童解消と合わせ、市民にとって子育てのしやすい環境づくりを進めたい」と話している。
保育ニーズの多様化受け
平塚市では、0〜2歳児を対象に、保護者の第2子以降の育児休業取得時に、保育園を原則退園する制度を設けている。3歳児以上は下の子どもが1歳を迎えるまでは在園可能。また、2歳児以下も含め、出産予定日から数え、前月から翌々月末までは園の利用が可能となっている。
市の保育園利用の基準は「家庭での子育てが可能かどうか」。保護者の健康状態や、発達上環境の変化が好ましくないなど、退園しなくて済むケースもあり、同課では「入園希望同様、各家庭への聞き取り調査などで対応してきた」と話す。
2013年度の平塚市の育休退園者数は71人。49人は第1希望園、3人は第2希望園に入園、1人は自己都合で内定辞退した。18人からは転居などを含め申込みが無かった。同課は「育休退園問題の争点の1つ、職場復帰時の保育園探し、いわゆる『保活』に関して、平塚市はハードルが低い。しかし制度自体が産み控えなどに影響しないとは言えない」と分析する。
待機児童ゼロ達成が契機の1つに
育休退園制度は、待機児童が問題になった1998年から全国で運用され始めた。今年度4月時点において、県内で育休退園制度を設けているのは、平塚市、小田原市、三浦市、秦野市、南足柄市、大井町、山北町、開成町、箱根町、湯河原町、愛川町の5市6町。その内秦野市は8月に制度見直しと撤廃を発表した。
これまで市は、同制度の在り方を市の教育問題の1つと認識し、市内各園園長らと、退園による環境の変化が子どもの成長に与える影響などを話し合ってきた。しかし、「待機児童」を優先して解決するべき、という声が大きかった。
市は既存園の耐震工事に伴う園舎建替えや、認定こども園の整備などで全体受け入れ人数を拡大させ、今年4月の時点で4年ぶりの待機児童ゼロを達成した。
9月1日時点の待機児童数は101人。同課は「待機児童解消と育休退園解消対策を並行して進めることができる段階にきたと考えている」と話している。
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