学部の移転に伴い昨年3月に閉鎖した神奈川大学湘南ひらつかキャンパス(土屋)の跡地について、同大は5月31日、売却に向けた優先交渉権事業者に県川崎競馬組合を選定したと発表した。川崎市内にある厩舎(きゅうしゃ)と練習馬場を含むトレーニングセンターを移転整備する計画で、7月中をめどに同大と共に地域住民向けに説明会を開く。
同組合は、公営競技の競馬事業を主催するため神奈川県と川崎市が共同で設立。競馬場(川崎市川崎区)のほか、同市幸区の多摩川沿いに小向厩舎と練習馬場がある。
厩舎と馬場は老朽化が進んでいるほか、2019年の台風19号では施設が冠水するなど度々水害に遭っていたことから、組合は県内外の複数候補地に移転を検討していた。川崎競馬場から120分圏内という条件で移転先を探す中で、同キャンパス跡地も候補に挙がっていたという。
東京ドーム6・6個分
1989年に開設した湘南ひらつかキャンパスは、東京ドーム6・6個分にあたる約31ヘクタールの敷地に校舎や野球場、サッカー場、陸上競技場、プールなどの設備がある。ピーク時には経営学部と理学部の学生4千人が通っていたが、両学部が横浜市内のキャンパスに移転したことで23年3月に閉鎖した。
キャンパス売却に向け、同大は今年2月に公募を開始。跡地利用の目的や地域活性化策などの提案を求めるプロポーザル方式による選考で優先交渉権事業者を決めるとした。
厩舎地区に170人居住
同組合によると、幸区の厩舎と馬場を合わせた敷地は約16ヘクタールで、調教師や騎手、厩務員約250人が勤務。うち厩舎地区には、家族も含めた170人ほどが居住している。
キャンパス跡地は立地の特性上、厩舎地区を整備するにはやや手狭というが、馬場や坂路といった必要不可欠な施設の配置は可能という。
用途地域の変更必須
キャンパス跡地は市街化調整区域にあり、現在は大学に用途が限定されている。大学関係者や地域の自治会長などで作る協議会が昨年まとめた報告書に基づき、都市計画法で定められている「地区計画」を策定して用途緩和を目指すとみられ、7月中をめどに地域向けの説明会を開く方針。
同組合は「優先交渉権事業者として選定されたが、移転が決定したわけではない」としつつ、「地元への説明をはじめとして、関係者団体との調整や平塚市との都市計画策定に向けた協議など、様々な課題が山積している。引き続き調整を進めていきたい」と話している。
同組合が優先交渉権事業者に決まったことを受け、落合克宏市長は「市の都市計画を踏まえるとともに、地域の声も聞きながら地域のまちづくりに資するよう対応していく」とコメントを寄せ、地域住民に対する事業内容やスケジュールなどの情報提供を求めた。
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