2021年の幕開けにあたり、落合克宏平塚市長に恒例の新春インタビューを行った。コロナ禍の市政運営、進行中の3つの開発事業、まちの課題などについて考えを語った。(聞き手/本紙平塚版編集長・山田洋平)
――まずは昨年を振り返ってください。
「新型コロナウイルスの対策に注力した年でした。全庁的な対策を取るため、1月末には『調整会議』を開き、感染状況を踏まえて移行した『本部会議』は2月〜12月で計25回開催しました。2月には、市民病院で、クルーズ船で発症した患者を受け入れました。
3月には災害用備蓄マスクを子育て支援施設や医療機関、高齢者入所施設などに配布することができました。また、小規模事業者への家賃補助や、ひとり親家庭への特別給付金は、国に先んじていち早く取り組むことができました。これまでの感染症対策の事業規模は約50億円に上ります。
新たな取り組みとしてキャッシュレス決済の推進・消費喚起による市内経済の活性化を後押しするため「ひらつか☆スターライトポイント」を発行しました。賛否両論ありましたが、売上は追加発行を含め総額15億1千万円以上に。導入後のアンケートでは、購入者の約93%が市民。60歳以上が11・3%で、20代の約2倍でした」
――一方で課題は。
「コロナの影響で『地域活動が制限されたこと』はとても残念でした。緊急事態宣言が発出され、やむを得ないこととはいえ、地域活動の支援をなかなかできませんでした。7月の総合対策で地域活動団体が実施する感染防止に配慮した地域のイベントを支援する交付金を創設しました。
自治会連絡協議会の各地区会長さんたちとの意見交換では『コロナに関する情報が伝わってこない』という意見が多く寄せられました。市民の不安感をできる限り軽減するため、県知事に要請し、4月から感染者の居住市町村が公表されるように。いまだ感染者に係る入退院、施設療養か自宅療養か等の情報提供がないため11月には県市長会として情報を適時提供するよう、県に申し入れています」
3大事業、着実に進行
神大キャンパス移転
引き続き情報収集
—-神奈川大学の経営学部が今年4月に移転。将来的な完全撤退も含め、周辺地域の影響をどのようにとらえていますか。まちづくりの施策などお考えは。
「湘南ひらつかキャンパスにある、経営学部と理学部を合わせると約4千人の学生や教職員が在籍しており、移転は本市・周辺地域に対して様々な影響を及ぼすと考えています。公共交通について路線バスの減便等は避けられないでしょう。経済面については、キャンパス周辺に住む学生が不在となるため、家賃や生活費の支出といった地域での消費活動が失われると思います。
移転が公表された後、平塚市としては『湘南ひらつかキャンパスの継続』を大学側に要望してきました。現在、大学側では、移転後のキャンパスの利活用策について、様々な角度から調査、研究を進めています。2023年を目途に方針をまとめるとされていますが詳細は明らかにされていません。引き続き、大学と接触を図る中で情報収集に努め、地域及び市の考えを伝えていきます」
ツインシティ
連節バス導入も視野
——3つの開発(ツインシティ大神地区、見附台・文化ホール、龍城ヶ丘ゾーン公園整備)が進行しています。進捗、期待している点など聞かせてください。
「ツインシティ大神地区では、15年8月の土地区画整理組合設立から5年が経過し、道路や公園などの都市基盤整備が着実に進んでいます。19年11月に三井不動産の大型物流施設が操業開始、昨年12月に信濃運輸も竣工。今年は、日本や大和ハウス工業も順次オープンし、『北の核』の形成に向け着実に歩みが進みます。イオンモールもしっかりと進めていく。多くの人が集まる施設になると思うので、早期オープンを期待します。
また、ツインシティ大神地区は、平塚駅と本厚木駅の中央に位置するため、南北方向のバス交通の強化を神奈中などと協議しています。将来的には連節バスの導入を視野に、まずは国道129号への増便を目指します。
相模川を渡り寒川町にアクセスすることとなる倉見大神線の整備が、神奈川県により国道129号付近のツインシティ大神地区内で進んでいます。西への伊勢原大神軸、国道129号を補完する平塚愛甲石田軸は、県など関係機関と連携して、実現に向けた検討を進めます」
文化芸術ホール
賑わい創出へ
「見附台周辺地区に整備している平塚文化芸術ホールは、2022年3月26日に開館を予定しています。現在、柱などが建ち上がり、ホールの形が見えるようになってきました。昨年11月には平塚信用金庫様がホールのネーミングライツパートナーとなり、愛称は『ひらしん平塚文化芸術ホール』に決定しました。
ホールの開館に先がけ、この3月には飲食店舗やカフェ、スーパーマーケットなどが営業を開始する予定です。今後も整備事業を着実に進めるとともに、中心市街地の商業者との連携についても検討し、賑わい創出に繋げていきます」
龍城ヶ丘
海辺の総合公園
「龍城ヶ丘ゾーンの公園整備については昨年1月に事業者を選定し、基本となるプランを決定しました。その後、『広報ひらつか』で情報提供や市民意見募集、WEB市民対話や少人数によるコミュニティミーティングなど、コロナ禍にも開催可能な方法で市民との対話を重ねてきました。3月から8カ月にわたって行った意見募集については、10月に市民や地元住民を対象とした意見交換会を開催し、一つの区切りとしました。
竣工は22年12月を見込んでおり、今年12月の工事開始に向けて、いただいた意見を検討していくとともに、市民対話は続けながら、関係機関との協議など必要な手続きを進めていきます。
この公園整備には、2つの意義があります。1つは、海のあるまちとして、お子さん、お年寄り、障がいのある方などにも十分配慮し、市民誰もがもっと気軽に海に親しめるようにすること。もう1つは、平塚の魅力を発信することです。
安心・安全など地域の方々の懸念に配慮し、市民に愛される公園として整備していきます」
「発」に込めた願い
——今年2021年をどのような年にしたいですか。
「今年、年頭に掲げる、キーワードとなる漢字一文字は『外に向かって広がる』『のびる』との意味を持ち、発展、発進などの言葉に使われる『発』としました。
昨年は新型コロナウイルスの影響で、社会や経済に大きな影響が及びましたが、今年はこれによってもたらされた難局を乗り越え、さらにそれを転機として、『発展』していきたいとの思いを込めています。
コロナ禍がもたらした社会変化としての『デジタル化』に向け、新たなスタートを切る、『発進』することは待ったなしです。その一方で身の回りのささやかな幸せや安心・安全も見直されているため、地域活動の支援や平塚ならではの魅力や強みを大切にし、市内外に『発信』することにも力を入れていきたいと思っています」
--ありがとうございました。
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