平塚産の生乳のおいしさを広く発信しようと、市内の若手酪農家からなる「角笛会」(内田明光会長)はこのほど、JA湘南の大型農産物直売所「あさつゆ広場」と協力し、同広場で地場産ジェラートなどの常設販売をスタートした。同会は「平塚の酪農を盛り上げるためにも、多くの人に味わってほしい」としている。
30〜40代の酪農後継者で構成され、今年で結成47年目という同会。このうち、片倉幸一前会長を中心としたメンバー8人が、今回のプロジェクトに奮闘してきた。
これまで同広場では県産の牛乳を使用し、隣接する「あさつゆ工房」で生産したジェラート、ソフトクリーム、カップアイスを販売。同広場の田中祐輝店長によると、ジェラートはバニラや足柄茶味をはじめ、季節によってはトマト味やクリマサリ味など12種類ほどを扱い、人気を集めている。
同会はジェラートなどの原材料を地場産生乳に切り替えるにあたり、特に殺菌手法に工夫を凝らした。通常、120℃で2秒ほど加熱する工程を、70℃前後で30分間じっくりと加熱する「低温殺菌」にしたことで「搾り立てに近い、生乳本来の濃厚な味」を実現。3月16日から段階的に常設販売を開始した。
地産地消へ試行錯誤
平塚は県内でも酪農が盛んで、市内の乳牛の飼育頭数は伊勢原に次ぐ948頭(2017年2月現在)と、県内第2位。平塚の酪農家計29軒(18年3月現在)が生産する生乳は、年間約6000tにもおよぶ。
ただ、片倉前会長によると、野菜と違い、生乳は工場での加工が必要なため、生産者が直売できないうえ、市内外の牧場で搾った生乳は、工場の大きなタンクで混ざって一つになる。そのため商品を販売しても「『平塚産』と明確には言えない」のが悩ましかった。
ただ「自分たちが自信を持って生産しているのだから、何とかして地元の消費者に届けたい」。その思いで3年ほど前から企画し、試作を繰り返してきた。
安全な品質を保持するため、生乳の輸送時の温度管理も徹底し、10℃以下で届けられるよう保冷バッグを活用。保健所との協議など試行錯誤を重ね、実現にこぎ着けた。
現在は同会のメンバーが毎日当番制で、自身の牧場で搾乳した生乳を納品。ジェラート、ソフトクリーム、カップアイスは税込300円などで販売されている。片倉前会長は「おいしく味わい、平塚の酪農について知ってもらえれば」と話した。
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