安全と漁業 両立に課題も 二宮漁港海岸に潜堤計画
堤防がない二宮漁港海岸の背後地を高波から守るために、人工リーフ(潜堤)を整備する事業に関する懇話会が5日、二宮町生涯学習センターで開かれた。地元漁業者と学識経験者、地区長、一般公募の町民らが出席。傍聴者も交えて漁業継続と安全性確保の両立などについて意見を述べ合った。
懇話会は一般財団法人土木研究センター常務理事の宇多高明氏を座長とする委員21人で構成。オブザーバーとして県土整備局の職員など4人が出席した。潜堤整備に対する意見を聴き、合意形成を図って事業を進めていくことを目的に開催された。
委員からは「潜堤で津波は防げるか」「設置で海岸の砂の流出が進むことが心配。設置後のモニタリングは必要だ」「漁港背後地の住民の安全を守るために、潜堤の役割は大きいと思う」などと質問や意見が出た。また、今後も地引き網漁が継続できるかについては、「昔やっていた場所へ移れば可能」「今の梅沢でやれるよう、潜堤を縮めてもらいたい」と漁業関係者の間でも意見が分かれた。宇多座長は「事業の目的は背後地の住民の安全確保」と強調。「町当局は漁業振興も頭に入れて進めてほしい」と要望し、閉会した。
潜堤は海中に消波ブロックを並べ、波の衝撃を緩和させるもの。汀線から50m離れた所に長さ100m幅22mの規模で整備する計画だ。2007年9月に台風9号が発生した際は、西湘バイパス橋脚付近まで高波が海岸をえぐり、漁業者の作業小屋や公衆トイレが損壊した。潜堤はこうした被害を防ぐために設置する。
漁港整備を進めてきた二宮町は2009年度、県の指示で海岸侵食対策を優先することに方針転換。防潮堤整備を検討するなかで、漂砂調査の結果と財政面から既設の消波ブロックを利用した潜堤整備を進めることを今年度、計画した。ブロックはNEXCO東日本が西湘バイパスの復旧工事で使用した約950個を活用。2億5千万円から3億円程度と見込まれている整備事業費は同社が負担するという。
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