2016年の幕開けに当たり、当紙では中崎久雄大磯町長・村田邦子二宮町長・杉山祐一中井町長へのインタビューを行った。人口減少が懸念される中、特に「定住促進」に向けた政策について3町長の思いを聞いた。
大磯 多世代から愛される町に
―定住促進に向け、まず、教育面の整備については
国の方針で教育大綱をまとめました。足や手を怪我したらギプスをしますが、心にギプスはできないんですね。心を傷つけないような教育をして行きたいです。中学校においては、ここでようやく完全給食が始まります。長い時間をかけてようやく実現に漕ぎ着けました。社会福祉法人がJR大磯駅前に設置する認定こども園も4月から始動します。
―若者の雇用については
大磯には海があり山がある。観光のまちづくりや港の整備などで、ある程度の雇用は発生します。約70%を占める農地や山林などを活用した新たな農業計画にも予算付けを考えています。若い世代の人たちが町の中で子育てをしたいと思えるようなまちづくりをしたいですね。大企業がない大磯町では農業、漁業も一つの選択肢で、観光も大きなプロジェクトです。
―子育て事業については
町では第二子以降の保育料の無料化を打ち出しました。また、先ほども申し上げましたが、認定こども園では病後児保育も実施致します。朝、子どもが熱を出し、病院に行くほどではないけれど心配だな。といった場合に利用することができます。さらに、町立小学校においては朝の預かりも県のモデル事業として行います。朝7時30分には登校できるようになりますので、働く保護者の方は子どもに鍵を渡して家の戸締まりを任せる心配がなくなります。
―シニア世代に向けては
町長に就任した時、「おあしす24健康おおいぞ」という保健事業を提唱しました。今は県のモデル事業へと発展しています。また、ロコモ(ティブシンドローム)予防の取組みは民間会社と一緒に始めた試みで、厚生労働省からの推奨も得ている事業です。参加人数も増えています。
さらに、来年度からは公の交通機関が整備されていない西小磯東地区の一部で、乗合タクシーの実証運行を開始します。地域の人たちを主体に町、事業者が一体となって考え生活環境改善に向けて取組んでいきます。
―最後に観光・空き家対策についてお願いします
新たな観光の核づくり事業の継続として、旧吉田茂邸の再建と郷土資料館のリニューアルを進めていきます。郷土資料館は限られたスペースの中で町の特徴的なものを展示し、旧吉田茂邸とリンクさせる形でリニューアルする計画です。
最近、町に漂う「侘び寂び」のような雰囲気を求め、若い芸術家らが町内の空き家に関心を抱き始めているようです。町ではそれらの声にお応えし、相談窓口を設けています。
二宮 「にのみやライフ」を発信
―定住促進の取り組みについて聞かせてください
子育て世代に選ばれるまちづくりを進めています。昨年は町制施行80周年という節目の年を迎え、ホームページをリニューアルしました。特にその世代に向けて子育て施策などを紹介するページを作りました。
自然があり、通勤や買い物に便利。プロの音楽を鑑賞したり、自分たちの発表の場に使ったりできるラディアンも宝物だと思います。日常で文化・芸術に触れ、生活をエンジョイできる。私自身がそうだったように、外から来たどの年代の方もとけ込みやすいコミュニティが作られています。小さい町ですが、落ち着いて楽しく暮らせる「にのみやライフ」を発信していきます。
また、定住促進を目的として、町内において同居・近居するための住宅取得やリフォーム、引っ越し費用についての補助を開始しました。さらに、昨年行った実態調査を基に、空き家バンク制度と制度利用者に対する補助金制度を創設します。
―雇用対策や地域公共交通については
広大な土地がないので、企業誘致は限られます。介護施設での人材不足改善を目的に、介護資格取得のための受講費用や就労経費の補助をしています。
経費の課題があるコミュニティバスとデマンドタクシーについては、移動手段の確保が高齢者の健康長寿と関わることもあり、ニーズを聞いて検討を続けます。
―新しい年を迎えて、吾妻山の菜の花も見頃ですね
二宮駅の発車メロディーが1月9日から『朧月夜(おぼろづきよ)』に変わります。菜の花ウォッチング開催期間中には産業能率大学と連携してポールウォーキングを実施する予定です。
―その他の課題に向けて取り組むことは
公共施設の再配置や町有地の利活用など課題は色々あります。県内では珍しい町民温水プールでは、子どもから年配の方まで皆さんの健康づくりに役立つ取り組みをしていきます。
駅南口でのマルシェや幅広い年代のお母さんたちによる自然の中でのプレイパークといった、様々な団体の活動が盛んです。行政が何事も丸抱えの時代ではありません。民間の力を入れ、町民の皆さんの意見を聞きながら課題に取り組んでいきます。
小中一貫教育などの新しい教育の可能性についても検討を始めます。
中井 シティプロモーションを推進
―定住促進の取り組みは
町の魅力を全国に発信するシティプロモーションに力を注ぎ、県と東海大学と連携して進めていきます。昨年は庁内に推進チームを組織し、ワークショップや各課へのヒアリングを行いました。今後は町民の方に参加していただき、昨年3回開催した「まちづくりカフェ」などを活かして職員だけでなく、町民の皆さんとともに中井町を売り込み、定住・交流人口を増やしていきたいと考えています。
また、現在策定している総合戦略では、国の交付金を活用した地方創生事業にも取り組みます。ただし、国からの交付金には、色々な制約があるため、実施すべき事業を精査しなければなりません。
―若い世帯に向けては
定住促進は、雇用を生み出す企業誘致や、教育を含めた子育て環境の充実を図ることが必要です。町立保育園と幼稚園を統合した認定こども園は今年で開設3年目を迎え、教育と保育、子育て支援を一体的に行っています。また、中学生までの医療費無料化も継続します。保育料と学校給食費の無償化を目指し、27年度から中井町在住の子どもの保育料について年額5千円、給食費については、小学生月額300円、中学生400円の補助を始めました。
教育では小学4年生までを対象に土曜学習を取り入れました。ボランティアが付き添い、算数と英語を中心に低学年は親子一緒に学びます。28年度はこの土曜学習を中学生まで拡大していきたいと考えております。
こうした取り組みをシティプロモーションにつなげ、「子育てするなら中井町」をPRします。
―その他、重点施策など
空き家と荒廃農地の活用も課題です。各自治会の協力を得て空き家状況の把握に努め、活用について検討します。荒廃農地は3年前から農業委員会による年1回の調査で把握しており、農地を貸したい・借りたいという希望を聞き、仲介しています。その結果、新規就農者が4人誕生しました。
昨年4月にメガソーラー発電所が稼働し、10月には念願だった町役場等の公共施設が集まる地区を通過する県道77号(比奈窪バイパス)が開通しました。発電所周辺の散策路整備や町役場周辺地域における拠点づくりを目指していきます。
また、平成28年度は第六次総合計画がスタートします。厳しい財政状況ですが、地域活性化の促進、暮らしの満足度向上、総合的な災害対策の強化などに全力で取り組んでいきます。
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