大磯町は開会中の町議会9月定例会で、来年4月1日に再建オープンする「旧吉田茂邸」について、年間3万人の来館者数を見込む考えを示した。人件費を除く維持管理費は1千万円程度と想定し、入館料収入などで負担する。入館料は未定だが、12月の定例会に提出する条例案を基に運営の方向性を固める。
12日の一般質問で、関威國議員の質問に答えた。
来館者数は、旧吉田邸が立地している県立大磯城山公園内の郷土資料館と同程度の年間3万人と想定。維持管理費については、町内にある他の公共施設を参考に1千万円程度と試算し、入館料と邸内に整備する研修室の使用料で賄う。
施設の名称に関しては、吉田茂という固有名詞を示すことがふさわしいという考えから、「旧吉田茂邸」とする案が有力という。
藤家崇教育長は「吉田茂邸の単独収入だけでなく、町全体への経済効果も期待できるものと考えている」と述べ、吉田邸の公開がもたらす地域経済への波及に期待感を込めた。当面は町直営で運営し、将来的には民間活力を導入した施設運営について検討していく考えも明らかにした。
関議員は、入館料などが定まっていない点について「収支計画が最優先されなければ、問題点の洗い出しができない」と、公開に向けた対応の遅さを指摘。旅行会社へのセールスなど集客手法を含め、早急な計画の策定を求めた。町は、12月定例会で旧吉田邸に関する条例案を提出し、具体的な運営方針をまとめたいと答弁した。
吉田愛用の調度品復元
2009年3月に火災で焼失した旧吉田邸は、約2億9800万円の寄付金に国・県の交付金を加えた5億4195万円の事業費をかけて再建が進められている。昨年3月に着工した建物の工事を今年5月に終え、現在は外構工事や内部の調度品整備などを行っている。
町は調度品について、1979年に大平正芳首相とカーター大統領による日米首脳会談の舞台となった、楓の間のとう製ソファセット、銀の間にあったダブルベッド、食堂のテーブルと椅子などを復元すると説明。吉田茂が暮らした往時の雰囲気をできる限り再現するという。
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