少年野球の専門誌「KANAGAWA ONE DREAM」が、9月30日発行の5号目で創刊1周年を迎えた。各種リーグの所属チームや学校の部活動、大会結果などを取材し、プロ選手のインタビューなども交えて小中学生にエールを送ることがコンセプト。発行人で自らも野球経験者の貝戸勲さん(45)=大磯町西小磯=は「選手や関係者にとって記念誌のような存在になれば」と、プロを夢見る球児たちを追い続けている。
貝戸さんは、「育成世代」と呼ばれる小中学生に光を当てて少年野球のすそ野を広げようと、平塚市で測量会社を経営する傍らカメラマン、ライターなどと数人で編集部を設立。昨年9月に第1号を創刊し、年4回のペースで発行している。
表紙には「冬トレ潜入ルポ 小田原足柄リトルシニア、湘南ボーイズ」「中学軟式特集」「神奈川県リトル/シニア/ボーイズ2016年チーム名鑑」などの見出しが躍り、選手や監督らの姿を生き生きと伝える。けがに対する啓発や成長期の子どもを支える弁当の一品コラムなど、緩急織り交ぜた連載も貝戸さんのアイデアだ。
インタビュー記事では、横浜DeNAベイスターズの三浦大輔投手やプロ野球OBの鈴木尚典さん、桑田真澄さん、山本昌さんなど、一時代を築いた名選手の声を紹介してきた。「他の専門誌と違い、野球を始めたきっかけや将来へのアドバイスなど、子どもたちが野球を続けたくなるようなインタビューにこだわっています」と、貝戸さんの方針は一貫している。
少年野球は、プロ野球や高校野球のように世間から注目を浴びる機会が少なく、雑誌の読者層も限られる。2千部の発行経費は雑誌売上とスポンサーからの広告収入でかろうじて賄い、儲けはほとんどない。「出版社に勤めた経験があるわけでもなく、周りからは無謀なチャレンジといわれます」。それでも貝戸さんが発行を続けるのは、編集を通して少年野球チームの窮状を思い知らされたからだ。
県内では、選手不足で存続が危ぶまれるチームが後を絶たない。「習い事の選択肢が増え、昔のように男の子は野球をやって当然という時代ではなくなったのでしょう」。近年では中学受験を意識して、小学4年生になると野球を離れる子どもも多い。小学6年生の息子が所属し、貝戸さんも事務局として運営に関わる二宮大磯リトルリーグでも、部員数の減少は深刻という。
貝戸さんは「雑誌を発行することで何かが変わるというわけではないかもしれない。それでも、掲載された子どもたちや関係者に喜んでもらえることがやりがいになる」という。地域で野球を始めて県内の強豪校に進み、甲子園の舞台で活躍する―――。そんな「生え抜きの球児」が、取材したチームから一人でも多く生まれることを貝戸さんは願っている。
雑誌は県内の書店やスポーツ用品店で販売している。定価800円。大磯町では東小磯のワダスポーツで扱う。問い合わせはKANAGAWA ONE DREAM編集部【電話】050・5577・5790。
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