清流に生息する魚として知られるアユが、二宮町の葛川に遡上していることが分かった。地域の環境美化に携わる町民が8月に調査を行い、確認した。町内でアユを見つけたのは7年ぶりで、今年はオイカワの群れもたびたび観察できるという。
町民有志によると、今年初めてアユを観察したのは7月2日。二宮町消防署近くの仮宿橋から川底をのぞいて見つけたという。その後も複数の場所でアユを観察できたことから、確認のために町商工会館北側の倉田橋と新田橋の間で8月17日に調査を実施した。投網に3匹のアユが入り、体長は16〜17センチあった。
食物連鎖
「アユの確認は2011年8月以来7年ぶり。アユが棲むには、きれいな水と川底の砂地、石にアユの餌となる苔が付着することが必要です」。ボランティア団体の葛川をきれいにする会と地域の環境を良くする会のメンバーで、調査を行った藤田尚志さんはそう話す。
葛川の魚類調査を始めた17年前と比べると、水質が向上して泥だった川底が砂地に変わり、アユのほかにもアブラハヤやオイカワなど魚の種類も増えてきたという。「アオサギやカワセミを目撃することがあり、餌となる魚が増えてきたからでしょう」と藤田さん。
ヘドロ臭の川
アユが棲めるくらいに葛川の水がきれいになった背景には、公共下水道の普及とともに町民ボランティアたちによる長年の環境美化への取り組みがある。
「清掃活動で川に入ると、ヘドロの臭いが体に染みついてシャワーを浴びてもなかなか取れなかった」。ボランティアのひとりで樹木医の長谷川芳男さんは以前の葛川の様子を振り返る。自転車や家庭ごみが捨てられていたこともあった。
地域の環境を良くする会では町内の牧場の協力を得て敷地を借り、水質を浄化する作用があるEM(有用微生物群)活性液を製造・培養。葛川と梅沢川に毎週およそ1トンを投入している。活動を開始した当時から水の透明度や臭い、COD(化学的酸素要求量)で大きな改善が見られた。
水量と魚道
葛川のアユは毎年、大磯プリンスホテル付近まで遡上することが分かっている。藤田さんらは「大磯町から上流に遡上するにはかなりの水量が必要だと考えられ、遡上時期の5月ごろに大雨が降ると二宮町まで遡上することができる。魚道を整備して町内でも毎年アユの遡上を見られることを期待したい」と話す。
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