時速120Km超で疾走するレーシングカートの世界で、大磯から世界へと羽ばたく若き挑戦者がいる。大磯中学校3年生の渡辺カレラ君(15)は、昨年11、12月にブラジルで開催された「ロータックスマックスチャレンジ」(RMC)シリーズのグランドファイナル大会にジュニアクラスの日本代表として出場。上位にこそ食い込めなかったが大きな経験を積んで帰って来た。2019年もさらなる活躍が期待される渡辺君に話を聞いた。
カートと歩んだ10年
「一番嬉しいのは、レースに勝った時。練習が結果につながったことと、応援してくれる人たちへの恩返しになるから」。車好きの父・佳巳さん(54)の勧めで5歳からカートを始めた渡辺君。初めはあまり乗り気ではなかったが、自分のマシンと一緒に走る仲間ができてからカート熱に火がついた。中井町のコースで人一倍練習に取り組み、練習日が170日を超えた年も。小4から一つ上のクラスに上がり、スーパーGTドライバーの塚越広大選手の名前を冠した「Koudai Cup」で小5・6と2年連続でシリーズチャンピオンになった。塚越選手の目に留まり、レーシングドライバーを養成する「鈴鹿サーキットレーシングスクール」(三重県)の推薦を受けた。中1から月1回、土日を利用してスクールへ通ってドライビングやマシンメンテナンスを学び、他の週末も練習やキッズレーサーの指導補助で飯能市や御殿場市のコースに出向くなどカート漬けの日々を送る。レース前に昼寝をして緊張を解き、集中力を高めるのが幼少期からのパターンだ。
日の丸を背負って
昨年はAPGチャレンジカップでシリーズチャンピオン、RMC日本シリーズで3位になり11月24日から12月1日の世界大会への道が開けた。周囲からブラジルの治安を心配する声も出たが「何があっても出場したい」と決意し初の海外と世界大会に臨んだ。60カ国・地域から72人が出場したジュニアクラスの予選プレファイナルで渡辺君は26位から一時17位まで順位を上げたが、他車との接触などもあり本戦出場は叶わなかった。「世界レベルの凄さを肌で感じて、自分にもっと何が必要なのかがわかった。この経験を今後の走りに生かしたい」と激戦を振り返る。
今年、スクールで一つ上のフォーミュラチャレンジクラスに上がることができれば、さらなる道が開ける。だがそれは、これまでの実績や意欲などが認められた3人にのみ開かれる狭き門だ。「上のクラスで練習を重ねて、免許が取れる18歳になったらF4に乗りたい。目標はF1ドライバー」と飛躍を誓う渡辺君。送迎やメンテナンスの補助など夫婦で息子を支える母・あゆ子さん(44)は「カートから他にない経験をもらい成長してきたカレラの夢を応援します」と温かく背中を押した。
大磯・二宮・中井版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|