小中学校の臨時休校で給食がなくなった子どもたちへ、昼食の弁当を安価で届ける取り組みを二宮町の町民グループが5月下旬から実施している。行政と事業者、野菜生産者、フードバンクなどと連携した。子どもの食を支援する新たな事業展開も視野に入れる。
低価格で栄養バランスの取れた配食サービスを行っているのは「にのみやこども食堂便」。新型コロナウイルスの影響により、子ども食堂を開けなくなった団体の片木康子さんら5人が、4月に新しい組織を立ち上げた。町の町民活動推進補助金の申請が認められ、5月20日から活動を開始。1日50食を目安に予約注文を受け、平日に家庭や学童保育所へ弁当を配達している。
密集を避ける分散登校の方法で6月1日に学校が再開したが、給食が始まるのは15日。登校日ではないグループの児童生徒は給食がないため、通常登校になるまでは弁当の提供を続ける予定だ。
代表の片木さんは「朝4時から子どもの弁当を作って仕事へ出ていた保護者、看護師として働くお母さんもいる。『助かります』と言われたり、玄関に駆け寄る子が『おいしかった』と反応したりしてくれると、この事業をやって良かったと思う」と胸をなでおろす。
味のプロが調理
子ども食堂の活動に参画した町内の弁当・惣菜店「巧味屋(うまいや)」が調理を担う。昨年5月と6月の給食の献立を参考にする。5月27日のおかずは、肉と玉ねぎの炒め物、かぼちゃの炊き合わせ、ひじきの煮物などだった。一色学童保育所の支援員は「高野豆腐が入っていたときがある。栄養をよく考えたお弁当ですね」と話す。
多方面と連携
サービスの周知に際しては町教育委員会の協力を得た。学校から家庭学習の課題を郵送するレターパックにチラシを同封。約1800人の児童生徒と保護者へ案内することができ、初日は約70食の注文があった。
企業・団体・個人が寄付した食品を食べ物に困っている家庭や施設などへ無償で配る「フードバンクかながわ」に登録し、そこから米を調達した。町内で無農薬野菜を育てる生産者9軒からも食材の提供を受ける。弁当の配達には8人のボランティアが手を貸す。
また、町の補助金のほか公益財団法人「かながわ生き活き市民基金」の新型コロナ対応緊急応援助成制度を利用して活動経費を用意。食材の無償提供と有志からの寄付金もあり、弁当の価格を200円と大盛り300円に抑えた。
団体会員で町議会議員を務める一石洋子さんは「社会情勢が厳しくなることも考えられる。子どもの食の環境を支える連携の形を築き、ニーズに直結する手助けや食品を無償で届ける仕組みづくりなどを目指したい」と今後の展開を見据える。
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