吉田茂元首相が晩年まで暮らし、2009年に火災で焼失した「旧吉田茂邸」の再建を祝う式典が26日、大磯プリンスホテルで開かれた。出席した孫の麻生太郎副総理は「この地が再び活気を取り戻す一助になれば」と、祖父が愛した私邸の再建を祝った。
旧吉田茂邸は、養父の吉田健三が明治20年ごろに別荘として建築し、昭和20年から吉田元首相が本邸として暮らし始めた。当時、日本には海外の賓客をもてなす施設がなかったため自邸を迎賓館として使用するようになり、内閣総理大臣を辞任後は政財界をはじめ多くの要人が足を運んだことから、「大磯詣(もうで)」という言葉も生まれた。
式典では、麻生副総理と自民党の二階俊博幹事長、菅義偉官房長官らが祝辞を述べた。麻生副総理は、吉田元首相が終の棲家に大磯町を選んだのは海と富士山が見えたからだと説明した一方で、「小学生から中学生までの間、毎週日曜日に連れてこられる羽目になって迷惑していた。あまりいい思い出がない」と回顧。松の木が伸びて海が見えなくなるたびに増改築を行ったことから、「結果的に訳の分からない変な家ができた」と麻生節を響かせた。
昨年暮れに大磯町を視察したという菅官房長官は「戦後政治の舞台となった旧吉田邸が皆さんの努力で修復されたことに、心から敬意を表したい」と落成を祝い、中崎久雄大磯町長は「日本全国、世界各地から多くの方々が訪れ、日本の復興を成し遂げた歴史を学んでいただけるよう、施設運営をしていきたい」と決意を述べた。
2009年に火災に遭った旧吉田邸は、3億円近い寄付金や国の交付金を活用し、約5億4千万円をかけて再建した。麻生副総理は「湘南といえば大磯。この地に再び活気を取り戻す一助になれば、吉田茂も『へぇ、そんなものになるのか』と、上のほうから見ているのではないか」と期待を込めた。
来賓らは式典後の内覧会で、吉田元首相の没後に日米首脳会談の会場となった「楓の間」や食堂の「ローズルーム」、復元された調度品などを見学した。
4月1日(土)から一般公開が始まる。問い合わせは大磯町郷土資料館【電話】0463・61・4700。
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