二宮町の新庁舎建設と建設予定地のラディアン周辺のまちづくりについて考える町主催のシンポジウムが12月6日、ラディアンホールで開かれた。9月から11月にかけて3回開催した町民ワークショップの総まとめとして、町民たちがグループ討議の成果を発表。専門家を交えたパネルディスカッションもあり、新庁舎への期待などを語った。
ワークショップでは、約50人の町民参加者が3班に分かれて【1】現地における災害リスクと新庁舎の場所、【2】未来に向けて求めたい庁舎機能やサービス、【3】ラディアン周辺のまちづくりをテーマに意見やアイデアを出し合った。
各班の代表者がシンポジウムに登壇し、討議内容を発表。【1】については「浸水対策を取れば、第一駐車場に庁舎を建てる」「災害リスクを回避し、駅前駐車場や小学校などを使う」などという意見を伝えた。【2】は「必要最低限の設備を」「デジタル化に対応できない人への配慮が必要。窓口で顔を合わせて相談したい人もいる」「今の庁舎は暗い。照明はLED化する」などと報告した。
発表者たちはワークショップに参加した感想も述べ、「子どもや高齢者に焦点を合わせがちになるが、学生が勉強したり、若い父母が集まったりして、役場は全ての世代が活用できる憩いの場になることを望む。職員に頑張ってもらうには、町民も誇れる施設を造ってほしい」と話した。また、「新庁舎の基本構想を作る前にワークショップを開いていたら、議会で予算が否決されることがなく、この2年間を有意義に使えたのでは」という指摘もあった。
防災とデジタル地域社会、建築の専門家3人による講演も行われた。新庁舎の基本計画策定における要点について話し、東京大学生産技術研究所の加藤孝明教授は「『防災もまちづくり』という観点で総合的に庁舎建設を考える必要がある。人口減少とデジタル化が進めば、自治体再編の議論を招く。庁舎が不要になることも見据えて他の用途に転用しやすい建物にすることも大切」とアドバイスした。
専門家と町民など9人のパネリストの討論会では、「スマホ一つで手続きが完了する役場に」「負の遺産を残さず、将来の人が幸せになるような庁舎にしたい」「庁舎があって人が集まり、近くに公園もある、明るいイメージを伝えられるような庁舎にしたい」などと発言があった。
新庁舎建設をめぐっては、建設費や財政負担の懸念などから基本設計予算が議会で2度否決された。昨年、県が浸水リスクを見直したことにより、町は基本計画(案)を白紙とし、建設予定地をラディアン周辺に広げ基本構想に入れた。シンポジウムを経て町は基本計画の策定を目指す。
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