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秦野版 公開:2015年11月5日 エリアトップへ

渋沢共有地管理組合 60周年で記念碑 駅敷設時 先人の尽力記す

社会

公開:2015年11月5日

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昭和20年代の澁澤駅(秦野市所蔵)
昭和20年代の澁澤駅(秦野市所蔵)

 秦野市峠地区の西端山林や渋沢駅周辺の共有地を管理している渋沢共有地管理組合(諸星義晴管理委員長・187人)が、今年創立60周年を迎えたことを記念して、11月8日(日)、渋沢駅南口の駅前広場にモニュメントを設置する。碑面には、小田急線敷設の際に当時の共有地の地権者らが渋沢駅を誘致し、地元の発展のために共有地を無償提供したことが記される。

 渋沢共有地は現在約9万平方メートル。その9割が里山林で、残りは個人や秦野市などへの貸付地だ。組合員は代々、各世帯で共有地の権利を相続し、渋沢地域の7地区の代表が管理委員会として運営を行っている。

 同組合では貸付地の賃料を活用して、まほろば里山林を育む会と協働で、西端山林の保存活動を続けている。林業の衰退により管理者がいなくなった森林をよみがえらせ、現在も渋沢小学校などの自然環境教育学習林として開放している。

 同組合は今年の3月で創立60周年を迎えた。1927年に小田急線の敷設が決まった際、組合の前身組織が「地元の発展のために」と駅の誘致に尽力。さらに下三屋(現・曲松1丁目)の共有地約1ヘクタールを無償で提供し、駅の設置に貢献したという。

 諸星管理委員長らは「当時の人たちが、生活が苦しい中でも地元の未来を思い土地を提供した事実を残したい」と、モニュメントの設置を計画。碑面には駅敷設の由来とともに、昭和20年代の澁澤駅の写真が焼き付けられる。

全国でも珍しい市街地の入会地

 組合が組織された1955年以前から、大字渋沢の人々は共有名義で渋沢共有地を利用していた。古くは江戸時代から、共有林がタバコの苗床に利用する落ち葉などを採集する場として使われていたという。

 渋沢駅周辺のように共有地が市街地の中心部に残るのは全国でも稀なケース。江戸時代から複数の村や人が共同利用する入会(いりあい)地は全国各地に存在したが、市町村合併に伴い所有権が自治体や個人などへ移された。

 1889年に西秦野村が発足した際にも、大字渋沢(旧・渋沢村)にあった共有地は西秦野村や個人の有地へ変わった。特に現在の渋沢駅周辺の入会地は農地や宅地として利用されており、原野を開拓した人への個人有化が促された。しかし経済的不況の中、個人では登記費用の捻出が難しく、結局、小字の代表者6人を代表にした、大字渋沢の共有名義で共有地の登記を行った。これが同組合の前身となった。

 戦後の混乱の中、権利者の明確化などを目的に1955年3月15日に組合が設立した。

区画整理事業でも土地を提供

 同組合は、1987年から行われた渋沢駅周辺の土地区画整理事業の際にも多くの土地を提供した。地元の地権者の中では反対運動がおこり、組合でも当初は意見が分かれていたという。

 57歳から20年ほど組合の運営に携わった諸星鎭夫(しずお)さん(87・渋沢)は「みんなを説得して回った。当時少子化の影響もあり駅前に人が少なくなってきていたので、どうにかしたいという使命感があった」と当時を振り返る。

 渋沢という地名には諸説あるが、沢がしぼまった、河川の源流に近いところという由来があるという。渋沢駅が現在の橋上駅舎へ建て替えられた1993年、小田急線の中でもっとも標高の高い駅であることから「丹沢高原駅」にしようという案も出たが、結局採用されなかったというエピソードもある。副管理委員長の高橋寿一さん(69)は「駅の周りは変わったが、渋沢という地名には由来や歴史がある。あまり変えてほしくない」と話す。

 自家用車が普及前には西丹沢へ向かう沢登りの地下足袋姿でにぎわった渋沢駅だが、現在の一日平均乗降客数は2万7741人。昨年12月にスタートしたZARDの楽曲の駅メロが話題を呼ぶなど、今も新たな歴史が刻まれている。

渋沢駅前のモニュメント設置予定地に立つ諸星管理委員長(中央左)ら三役
渋沢駅前のモニュメント設置予定地に立つ諸星管理委員長(中央左)ら三役

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