国際親善総合病院(村井勝病院長・西が岡)が9月以降の分娩を休止する。区内で唯一の出産ができる医療機関で、これまで年間700件ほどの分娩を扱ってきたが、近年の「産科医不足」の影響を受けた。
同病院には常勤の産科医が5人いたが、大学からの派遣中止や退職などが3月以降に重なり、1人のみとなった。非常勤医を確保し、月60〜70件の分娩を半分以下に抑えて分娩を継続してきたが、当直勤務や緊急時の安全確保等を踏まえ、9月以降の休止を決めた。7〜8月に臨月を迎える妊婦の分娩は行っていく。
9月以降に出産を迎える100人近くの妊婦には横浜医療センター(戸塚区)など主に4つの医療機関に移って出産してもらうよう、依頼した。この場合の交通費などの差額は、同病院が概ね10万円を上限に補填しているという。
同病院では、7月中に産科医の候補者と面談するなど産科医の確保に努めており、医師が確保できれば分娩を再開したいとしている。
同病院には助産師が30人以上と手厚く配置されており、同病院の中川秀夫管理部長は「灯を消さないようにしたい。(産科医は)最低でも3〜4人、理想は10人以上確保したい」と話す。一方、「派遣中止や退職が事前に分かっていれば手を打てた」と悔やむ。
「お産難民」が増加傾向
県内では近年、産科医の減少等に伴う、分娩可能な医療機関の分娩取り止めが顕著になっている。
病院での出産を希望しながら妊婦の希望する地域に出産施設がなかったり、分娩予約が一杯で受け付けてもらえなかったりなど、出産に苦労する「お産難民」といわれる妊婦も増えているといわれる。
秦野市の秦野赤十字病院でも今年5月、大学から派遣されている医師の今年度での引き上げが通告され、分娩休止の危機となっている。横浜市内には産科医の大学引き上げにより、産科の閉鎖を発表した医療機関もあるなど、大学への引き上げによる「お産難民」は首都圏で増加傾向だ。
区民の声
同病院の分娩休止を受け、相鉄・いずみ中央駅前の泉区地域子育て支援拠点「すきっぷ」で子育て中の区民に話を聞いた。
▽同病院で長男を主産した20代女性(和泉町)/長男を国際親善で出産したが、次男はいっぱいで断られ、瀬谷の病院の紹介状を書いてもらった。以降4人目まで瀬谷の病院で。交通の便を考えると、何かあった時に対応してもらえる近い方が断然いい
▽同病院で昨年、出産した30代女性(和泉町)/第1希望が受け入れ拒否だったこともあり、家に近い同病院に。結婚を機に泉区へ移り住んだ身としては何もわからず、とりあえず近いところをと考えていた。主人が通える範囲、家から通える範囲でないと大変。家から近いということで、同じ病院で出産した友達(ママ友)もできた
▽30代女性(上飯田町)/
設備の整っている総合病院で埋める安心感がる。妊娠してから自らも同病院にかかり、子どももそこで産むことができる。親子が一つの病院で済ませられる利点があった
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