5月18日までテアトルフォンテで楽書展を開催している 山崎好子さん 緑園在住 79歳
何事もお相手のために
○…「今日は少し期待して来られたかと思いますが、こんなおばあちゃんでごめんなさい」。公共施設等で講座を開く際、冒頭の挨拶はこれと決まっている。参加者たちはチラシ案内を見てやってくる。そこには、師からもらった雅号「麗香」の名が記されている。この挨拶は初日の緊張をほぐすとともに、講師名の字面から想像されるであろうイメージを逆手にとったユーモアである。「麗しいという字に一番びっくりしたのは私ですけど」と振り返る。
○…およそ3年ぶりの「楽書展」。楽書とは自由な発想で書いて、見て楽しむ世界を標ぼうして生み出した表現方法。文字が持つ意味やイメージを筆に表したり、書の一部に画を合わせたりと、書の伝統を守りながらも、作品のバリエーションは多岐にわたる。「まったく売れなかったんですけどね」と笑うが、これまで2冊の本を出版。本の中の「藤」の文字は花が垂れ下がる様子そのもの、「鶴」の文字は優雅な立ち姿を連想させる。他もまた然りだ。
○…「還暦を過ぎたら人の役に立つことが自分のため」。何かの本で読んだ一節が自身の指針となっている。もともと「何事もお相手のために」がモットー。教室を開くことを決めたのもそうした気持ちが大きかった。自宅や地区センターでの教室と多忙な日々を送るが、自身の活動を理解してくれているご主人や周囲への感謝も忘れない。質問には終始、一呼吸置いてからわかりやすく丁寧な受け答え。まさに麗しい人柄が滲むが、本人は「猪突猛進、無鉄砲」と自己分析。
○…シャクヤク、バラ、つばき、パンジー…。自宅の庭先では1年を通して花のリレーが楽しめるように手入れを惜しまない。かつてはテニスやゴルフとスポーツにも取り組んだが、「最近はこの位がちょうどいい」と。今年傘寿を迎えるが「楽書をもっと知ってほしい」と意欲満点。頭の中では、表現されるのを待つ言葉や文字が列をなしている。
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