幸区に救急入院ベッド増を 川崎幸病院が署名活動
幸区に重症救急患者のベッド確保を―。川崎市が使われなくなっている川崎病院と井田病院の病床62床を民間病院に再配置するための公募を行う中、川崎幸病院や川崎幸クリニックを運営する社会医療法人財団石心会(幸区都町・石井暎禧理事長)が先月下旬からベッド確保のための署名活動を展開している。浮き彫りとなったのは、幸区で救急入院できる病床数が極端に少ない実態だった。
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「幸区に救急入院できる病床が足りません」
先月23日、幸区都町で行われた同病院主催の納涼祭で集まった市民に石井理事長はこう切り出し、「幸区の人口当たりの入院ベッド数は川崎区の7分の1、中原区の5分の1にとどまる」と強調した。これまで「救急患者を断らない病院作り」をモットーとする同病院では年間約6000件の救急患者の受け入れを行っているが、病床不足により救急搬送患者のうち、年間約1000人の患者が入院できない状況である。
石井氏によると、来春、幸区大宮町に新病院をオープンさせることもあり、患者のさらなる要望に応えるには「入院ベッドを増やすしかない」と言葉を強める。
ただ、入院ベッド数については、医療法などの定めで勝手に増やすことが出来ない。まして、厚労省が定める川崎区、幸区、中原区の「川崎南部保健医療圏」の人口10万人当たりの一般病床数は県平均の522・8床を上回る677・7床であることから、過剰状態とされているのだ。これに対し、同病院では「病院に一刻も早く搬入しなければならない救急医療の性格からすれば、南部医療圏ではなく、区ごとの状況を考えるべき」と異を唱える。実際、先のデータを区ごとでみると川崎区1130床、中原区746床であるのに対し、幸区は157床で「幸区だけが極端にベッド不足」(同病院)という状態にある。
こうした中、川崎市は市立病院の未使用病床62床を民間病院に再配置するため、南部医療圏内の民間病院を対象に公募を行うことになった。同市は救急車が現場到着してから病院までの搬送時間が30分以上かかる比率が全国の政令指定都市の中で3年連続ワースト1を記録していることから、事態打破への期待が寄せられている。
これに対し、同病院では、「幸区の病床不足と受け入れ実績を考慮し、当院が62床全てを委託されるべきである」と語る。
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4月26日
4月19日