平塚市博物館の館長に就任した 澤村 泰彦さん 二宮町在住 53歳
「身近な発見の一助」目指す
○…天文分野一筋丸30年。その節目に新たなスタートを切った。「地域に関連した事柄を調べ、ともすれば日常生活にも潜む面白い研究対象を見つけてくる。それが博物館の仕事だと思っています」。地域とのつながり、関わりを前面に出した展示や行事が特色の同館で芽生えた使命感だ。平塚の生まれで、博物館近くの江陽中出身。「でも、まさかここで働くことになるとは思いませんでした」と笑う。
〇…大学卒業後に市職員になり、配属された先は学芸係。同館は「変に世間に媚びず、独自の創造的な活動を行っている」という印象だった。その姿勢に強く共鳴し、国家試験を受けて学芸員の資格を取得した。「最初はオリオン座と北斗七星くらいしか知らなかった」が、天文担当としてプラネタリウムの解説を任された。猛勉強に励み、星座の知識はもとより、伝わりやすい言葉を考え、時にはギャグを交えながらお客さんの反応を見て試行錯誤を繰り返した。「そんな現場を離れるのは少し寂しい」と本音ももらす。
〇…これまで手掛けてきた中で最も印象に残っているのは、七夕や十五夜など、星にまつわる地域の風習や言い伝え等を地域住民と一緒に調査する「星まつりを調べる会」を立ち上げたことだ。市民とともに様々な場所へ出向き、たくさんの人に会って話を聞いた。「失敗して、人に助けられて。貴重な経験でした」と振り返る。
〇…実直そうなイメージも、「当時大学生だった娘の関心を得ようと、自分の眉毛を整えようとして、誤って全部剃ってしまったことがある」と、家庭内での思わぬ失敗談に表情を崩す。親しみやすい人柄は、博物館のイメージそのものだ。「博物館で得た情報が、今度は皆さんの暮らしの中で楽しい発見ができる手助けになれば」。満面の笑みとともに、新たな歴史の幕を開ける。
|
|
＜PR＞
平塚版の人物風土記最新6件
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
＜PR＞
