お手玉に似た小さな球(バッグ)を、サッカーのリフティングのように落とさないよう両足で蹴る球技「フットバッグ」。同競技の世界大会が7月28日から8月2日、フランスで開催された。日本から唯一参加したプロフットバッグプレイヤーの石田太志さん(30)=若葉台在住=が「シュレッドサーティー」の部で初優勝。世界の頂点に輝いた。
フランスのパリで開催された、フットバッグの世界大会「World Footbag Championships 2014」。同大会は開催地を変えながら、年に1回行われている。
石田さんが優勝した「シュレッドサーティー」は、30秒間に可能な限りの技を積み上げていく競技。技の種類、難易度、タッチ数などが審査対象となる。約30人が参加し、予選を突破した10人で行われた決勝戦。石田さんは30秒間一度もバッグを落とすことなく、33個の技を繰り出しフィニッシュ。日本人としてはもちろん、アジア人としても初となる優勝を勝ち取った。石田さんは「トップ10になるのも難しくて、考えられないこと。2位と3位の選手が一回ずつバッグを落とすなど、運もあって世界一になれた。本当によかった」と喜びを表現する。
そのほか、今大会で石田さんは非公式競技を含め6部門に出場。フリースタイルでベスト8、そのほかの部門でも10位以内に入るなどの成績を残した。
第一人者として普及も
リハビリトレーニングを発祥とし、1972年にアメリカで誕生したフットバッグ。欧米では競技人口600万人とも言われるが、日本ではマイナーな競技だ。「競技があることさえ知られていない。だからこそ、自分でやらなければいけない。今回の結果は普及のためのツールとしても良かった」と石田さんは語る。
石田さんが競技を始めたのは大学1年の時。偶然フットバッグの映像を見て、その演技に惹かれたのがきっかけだという。大学在学中は日本フットバッグ協会の設立に携わり、卒業後もアパレル関係で働きながら競技を続けていた。しかし、「フットバッグで生活していきたい」という思いから、3年前に退職。現在は世界で唯一のプロフットバッグプレイヤーとして、年間約200回イベントなどでパフォーマンスを披露するほか、イベントの主催、スクール開催など競技の普及に尽力している。
石田さんは「イベントでのパフォーマンスを通じて、フットバッグを見たことない人へアプローチしていきたい」と思いを口にし、「来年の世界大会にはよりレベルを上げて臨みたい」とも話す。「競技者と普及者、両方の側面があるんですよ」と笑顔をのぞかせた。
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