2024年の幕開けにあたり、神奈川区の日比野政芳区長にインタビューを行った。3月に多文化共生ラウンジの開所を控えるほか、幅広い世代が区に愛着を持ち「住み続けたい」と思えるよう、持続可能なまちづくりを進めていく(聞き手・飯野耀平)。
つながりを再構築
――昨年の振り返りをお願いします。
「5年ぶりに区民まつりを通常規模で開催することができました。多くの方が出店やイベント、ステージを楽しみました。また、夏から秋にかけて各地域で様々な行事が開催されました。私も活気溢れる神輿の担ぎ声などを聞き、コロナ前の賑わいが戻ってきたんだと実感が湧きました。各地域で、コロナで途切れてしまった行事や関係者同士のつながりを少しずつ復活し、新たな手法も取り入れ試行錯誤しながら再構築されてきたご苦労が、実を結んだ年になったのではないでしょうか」
――街には賑わいも戻ってきました。
「『商店街麺ラリー』を1月末まで開催しています。これまで足を運ぶことができなかったお店なども是非訪れていただき、商店街の散策を楽しんでいただければと思います」
――区の運営方針の進捗状況についていかがですか。
「タウンニュースの連載『人・まち探訪』で子どもたちを応援する多くの区民の皆様に会いました。子育てに限らず、団体同士の連携や地域のつながりが生まれていて、運営方針の基本目標『笑顔でつながる神奈川区』を実感した1年でした。地域福祉保健計画の基本理念『誰もが住み慣れた地域で健やかに安心して暮らせるまちをみんなでつくろう』につながる地域の活動なども各所で広がっています。こうした取組もレアリアで紹介しています」
――昨年は子育て・高齢者支援に力を入れていました。
「子育て支援では、中学生の医療費無償化など全市レベルの制度面での支援に加えて、養育に困難を抱える世帯への支援など、きめ細かな対応がますます求められています。子育ての悩みを抱える世帯や保護者の方の支援に向けては、家庭訪問や相談支援体制を強化していきます」
フレイル予防に重点
「コロナによる行動自粛などを経て、介護保険の要介護認定者の増加に伴い、高齢者の体力低下(フレイル)への支援の必要性が高まっています。フレイル予防を推進するため『体にいいこと手帳』や『神奈川区フレイル予防アクションマップ』を配布しました。また、認知症への理解を促進するため、VRによる体験会を開催しました」
――防災については。
「昨年は関東大震災から100年となる年でした。各地域防災拠点や町内会で、防災訓練が規模を少しずつ拡大しながら開催されており、区民の防災の意識がとても高いことを実感しています。区としては、横浜国立大学で開催された『ぼうさいこくたい2023』に参加し、子ども向け防災絵合わせカード『てくてくまっち®️』を紹介しました」
5年ぶりの意識調査
――今年力を入れて取り組みたいことは。
「5年ぶりに区民意識調査を実施し、コロナ前後の区民意識の変化や、スマートフォンの活用方法など社会の変化に応じた項目をお聞きしました。結果報告書は1月末に公表予定ですが、単純集計の速報値を分析し、区の次年度予算編成にも反映していきます」
――環境に配慮した取組も始まっています。
「地球沸騰化と言われる時代、自然との共生や循環型社会など、一人ひとりの行動変容がますます求められています。昨年は神奈川大学で『まちの未来を考える』ための講義『かながわ区民カレッジ』を初開催し、約100人が受講しました。GREEN×EXPO2027が開催される令和9年は神奈川区が区制100周年を迎える節目の年でもあります。花と緑を通じたコミュニティづくりや脱炭素ライフスタイルの浸透を進めていきます」
外国人市民との共生
「神奈川区は市内で4番目に外国人が多く、令和5年12月現在で8500人を超えました。外国人市民との共生を図ることを目的に多文化共生ラウンジがいよいよ3月に開設されます。外国人市民に向け、日常生活の様々な情報提供や相談支援、交流活動などを行います。また、地域で行われている日本語教室や学習支援活動などとも連携していきます」
――区民へのメッセージをお願いします。
「今年は、鶴屋町と羽沢横浜国大駅前の大規模マンションがいよいよ完成し、周辺の商業施設も順次開業予定です。区の人口は当面増加が予測されています。転入してきた若い世代が地域活動等に参加することで愛着を持って区に住み続け、地域の担い手として活躍してもらいたい。そのため、神奈川区の資産である地域や企業、そして様々な世代間のつながりづくりを意識しながら様々な取組を進め、持続可能なまちづくりとともに、『住み続けたい』と思える神奈川区を目指していきます」
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