東京メトロ銀座線「青山一丁目駅」で8月15日に発生した、視覚障害者の転落死亡事故を受け、横浜市内でも障害者団体などからホームドア設置の声が上がっている。横浜市内にある鉄道駅は138(鉄道会社別)で、ホームドアが設置されているのは44(9月5日現在)。設置率は31・9%にとどまっている。
「青山一丁目駅」で発生した事故では、盲導犬を連れた男性がホームから転落し、電車にはねられ死亡した。柱が点字ブロックの一部に掛かっていたことが、男性の歩行の妨げとなったとみられている。「また、事故が起こってしまった。ホームドアが設置されていれば防げた」とNPO法人横浜市視覚障害者福祉協会の大橋由昌副会長は話す。
今回の事故を受け、同協会は横浜市や関係する市議のほか、鉄道各社に要望書を提出。現在、市健康福祉局に面談の申し入れも行っており、「ホームドアの早期設置」「駅員の視覚障害者への誘導・声掛けの再研修」などを訴える予定だ。大橋副会長は「ホームドアの整備は大事なことだが、すぐには進まない。整備以前に危ない時に周りの人が声を掛けてくれる風土づくりが大切。そのような啓発活動にも力を入れていきたい」と思いを話す。
設置に「1駅4億円」
市内の鉄道路線で全駅にホームドアが設置されているのは、市営地下鉄ブルーライン・グリーンラインのみ。そのほかの路線での設置は現状、相鉄線「横浜駅」(一部)、東急目黒線「日吉駅」・東横線「大倉山駅」・同「菊名駅」(下り)・同「横浜駅」(みなとみらい線と共用)だけとなっている。設置に向け大きなハードルになっているのは費用面だ。「駅にもよるが、ホームドアだけで1駅4億円前後掛かる」と市都市整備局担当者は話す。ホームの補強が必要な場合はさらに工事費が掛かる。また、路線の相互乗り入れなどにより、種類の違う車両に対応する技術面も課題となる。
そんな中、ホームドア設置に向け、大きく動き出しているのは東急電鉄。2020年までに、「東横線」「田園都市線」のほか、都内を走る「大井町線」の全駅に設置を予定している。そのほかの各社でも、設置や設置に向けた実証実験の取り組みが始まっている。
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