東日本大震災から13年が経過した。災害の被災地の惨状と復興への記録を撮り続けてきた写真家が今、伝えたいことは何か--。私たちはどう備えればいいのか、今年1月に発生した能登半島地震の撮影取材を経て、改めて災害との向き合い方を私たちに訴えている。
「『まさか』はない。今の日本ではもうこの考えを見直さなければいけない」。そう語るのは相模原市南区在住の写真家、時田まさよしさん。頻繁に氾濫していた目黒川沿いに住んだ経験が防災に関心を持つ原点となり、阪神・淡路大震災を機に本格的に災害現場の写真を撮り始めた。
「作品作りではない。伝えなければいけないことがある」。阪神・淡路大震災のほか、これまでに東日本大震災や新潟県中越地震、北海道胆振東部地震、熊本地震、糸魚川市大規模火災などを取材。数々の災害現場を撮り続けてきて「日本は災害大国であることを認識しなければならない」と呼びかける。
一写入魂
写真家として大切にしている信条は『一写入魂』。写真集の1枚1枚には撮影した日時と場所を記入し、一言の説明文を添えて記録として後世に伝えている。凄惨で繊細な被災地でレンズを向ける時、いつも気にしているのが『目配り、気配り、思いやり』という。
時田さんが災害現場と向き合ってきて30年余り。この間、日本の災害対策は進んできたものの、被災地の支援体制は未だ十分とは言えないと指摘する。どの被災地でも「水、電気、トイレがない。特にトイレが一番の問題」。トイレは人の命にもかかわる尊厳の問題とされ、能登半島地震でも問題視された。
欧米各国では被災者の心身のケアや尊厳を重視した避難所運営を基準として、トイレコンテナやベッド、キッチンカーなどの備蓄が進んでいるケースも多く、その点で時田さんは「日本は未だに海外に比べて遅れている」と指摘する。
能登半島地震が発生し、被災者の生活の先行きは未だ見通せない。時田さんが撮影した写真は、私たちに教訓を突きつけている。
「長期にわたってライフラインが遮断されるということは、生きる尊厳が遮断されること」
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