元日本代表で地元サッカークラブSC相模原のGK川口能活選手(43)が14日、相模原市役所で現役引退会見を行った。川口選手は時折涙ぐみながらも終始晴れやかな表情で会見に臨み、引退の理由やSC相模原での経験、今後の展望を語った。
4度のW杯を経験し、GKとして最多の日本代表116キャップを誇るレジェンドとあり、61社、約130人の報道陣が駆け付け注目を集めた引退会見。「今は感謝の気持ちしかありません」。開口一番、川口選手はサッカー人生で関わってきたすべての人への率直な思いを口にした。
川口選手は1994年に横浜マリノス(現横浜F・マリノス)でプロのキャリアをスタート。96年には日本代表に初選出された。同年のアトランタ五輪での「マイアミの奇跡」などサッカー界に残した伝説は数知れず。時に感情をむき出しにして日本のゴールを守るその姿は、炎の守護神と呼ばれファンに愛された。
25年のプロ生活に終止符を打つことを決めた川口選手。1、2年ほど前からプレーを続けるか引退するかで揺れていたという。そんな中、今年のロシアW杯などでの日本代表の戦いぶりに世界で通用する可能性を感じたといい、「選手としてではなく違う形で貢献したいという思いが強くなった」と引退の理由を話した。
マリノスで活躍後、海外リーグやジュビロ磐田などでのプレーを経て、2016年にSC相模原に移籍した川口選手。高校の先輩であるSCの望月重良代表と当時の薩川了洋監督の存在が大きく、40歳での再出発を後押しした。今季レギュラーを務めるGK田中雄大選手など川口選手に憧れる若手も多く、J3で下位に低迷するチームを背中でけん引。SCでの3年間を「J3でプレーすることは自分の中での挑戦だった。出場回数も減っていき厳しくもあったが、プレーできる喜びやサッカーが好きだということを再認識できた」と振り返った。
理想像求め指導者の道に
数々のビッグセーブで日本代表を救ってきたレジェンドも会見では、自身が理想とするGK像に近づいたことは一度もないと打ち明けた。その上で「失敗を恐れず常に攻撃の第一歩としてプレーするのがGKの理想だと思う」とし、今後は自身が培った経験を伝えるべく指導者として後進の育成にあたる考えを示した。
会見の終盤には涙をこらえ、「自分にとって川口能活というのはこの1、2年で、代表やJ1でプレーしていたときの川口能活は過去のものなんです」と語った川口選手。「僕のためだけにこれだけの人が集まってくれた。今日は最高にうれしい日です」。選手やファンに愛された川口選手らしい印象的な言葉で会見を締めくくった。
なお、12月2日(日)に相模原ギオンスタジアムで行われるリーグ最終戦・鹿児島ユナイテッドFCとの試合後には、川口選手の引退セレモニーが予定されている。
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