新型コロナウイルス感染症をきっかけに、地域の商業施設はどのような対応に追われているのか。模索しながら奮闘する「人」を紹介する。第2回は、市内最大級のショッピングモール・アリオ橋本(運営/株式会社セブン&アイ・クリエイトリンク)の野尻敏行支配人だ。
「人が集う」 合言葉のはずが
コロナ第一波に際し、野尻支配人の頭をよぎったのはアリオで働く従業員のことだ。アリオには、イトーヨーカドーや3つのクリニック、130を超える専門店に約2800人の従業員がいる。来店客の需要に応えなければならない一方で、従業員の安全も守らなければならない。緊急事態宣言後、専門店は休業したがスーパーや医療機関などは営業を続けたため、感染対策には格別に力を入れた。全従業員の検温、マスクの着用、館内随所へのアルコール配置、ソーシャルディスタンスを呼び掛ける掲示物、飛沫防止シート、館内消毒の徹底。「これだけしないとお客様に選ばれない」。野尻支配人はコロナで変わった世間の価値観をそう分析する。
客足は第一波で減った。しかし、外食を控える客が駆け込んだことで、スーパーの客単価は上がった。ネットスーパーの注文・宅配も盛況だ。フードコートには、デリバリーサービスのリュックを背負った配達人の姿が散見されるようになった。決してアリオから客が離れているわけではない。人が集まり賑やかであることがショッピングモールの「あるべき理想像」だったが、その概念も変わりつつあるのかもしれない。「One Heart はなれていても こころはひとつ」--。5月27日の全面再開館の際、従業員同士で決めたアリオ橋本の新しいスローガンもそれを物語っている。
来店客の安全も、従業員の安全も大事。しかし、コロナ騒動が始まって半年。「新しいルールを守りながら、地域のニーズに応える店舗運営をしていかないと」。その一つの答えが、8月10日(月)まで行っている「アリオ橋本七夕まつり」だ。今年、コロナで中止となった地域最大の「橋本七夕まつり」の竹飾りを館内にディスプレイし、3密を避けた「観覧式」で実施。橋本七夕まつり実行委員会とも協力し、街の伝統をつなぐ役割を買って出た。
目下の課題は、館内のイートインがメインの飲食店街の落ち込みだ。テイクアウトを始めている店もあるが、やはり客入りが売上げに直結してしまう。複合商業施設として、安全に配慮しながら来店客を循環させる手立てはないのか。現場での手探りの奮闘は続く。
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