横須賀市 「こども園」移行に助成 私立幼稚園の長時間保育を後押し
来年4月から「子ども・子育て支援新制度」が全国でスタートする。幼児期の教育や保育、地域の子育ての充実を図っていくもので、横須賀市でも既存の施設や事業の見直しを行っている。「認定こども園」に移行する私立幼稚園への支援など、新制度の施行に向けて、子育て支援の構造改革が進められている。
急速な少子化や核家族化、そして待機児童など、子育てをめぐる現状を改善すべく来年4月から施行される「子ども・子育て支援新制度」。『質の高い幼児期の学校教育・保育の総合的な提供』『保育の量的拡大と確保、教育・保育の質的改善』『地域の子ども・子育て支援の充実』の3つを掲げている。新制度では、これまで幼稚園・保育所と分けられていた未就学児の教育・保育の場に加えて、「認定こども園」「地域型小規模保育」の普及を目指している。「認定こども園」は、保育所と幼稚園の機能や特長を併せ持ち、保護者の就業状況に関わりなく、教育・保育を一緒に受けられる施設。こども園の制度自体は2006年から始まっているが、既存の幼稚園が保育所の機能を併設する施設(幼保連携型)が大半で今年4月現在、神奈川県内での43園が導入。市内で実施している園はない。
来年度は4園を予定
横須賀市では、今年度からの新規事業として、認定こども園に移行する私立幼稚園に対して、運営費用の助成を開始している。制度の移行に関して、大きな壁となるのは保育時間だ。幼稚園では概ね午後2時前後に降園となるため、保護者が働いている家庭では、幼稚園に通わせることが難しいとされていた。そこで独自に長時間の預かり保育(延長保育)を実施するなど対応している園もある。ただ、延長保育の時間や保護者の費用負担額にも差が生じているのが現状だ。
市では、11時間以上開園して長時間預かり保育を行う幼稚園に助成をすることで、認定こども園への移行を後押しする。助成は今年度から4カ年で、事業費は約7000万(今年度は約1760万)。これを受けて来年度、市内の私立幼稚園で「認定こども園」への移行を予定しているのは4園。これから各園の意向の聞き取りを行い、市の条例制定後、正式決定するという。市のこども育成部教育・保育支援課では、「こども園の役割は、待機児童解消だけでなく、子育て支援の選択肢を広げる役割もある」と話す。
制度実施に議論を
来年4月の実施に関して、「国のスケジュールに追い立てられているのではないか。幼稚園側ももちろんだが、利用者に対しても、内容や手続き方法の変更など、必要な時間をかけて十分な議論と説明を行うべき」との声もある。10日に行われた市議会第2回定例会で、ねぎしかずこ議員(共産党)は「保育の質の懸念や、保育の格差が生じる恐れもある」と危惧するとともに、「0・1・2歳児の待機児童の解消には、認可保育所の充実で対応すべき」と質した。また、新制度では放課後児童クラブの支援も位置づけられているが「横須賀の学童保育の課題を解決する視点で条例制定を考えてほしい」と同議員は話す。市長は「新制度に関しては、8月から保護者に対する説明会を20回程度行っていく」と答弁。新制度施行に遅れることなく進める方針を強調した。
条例骨子案に意見募集
新制度は、国の基準を踏まえ、施設整備や運営に関する事業計画は自治体の条例で定めることとなっている。市では、今月17日(火)から新制度にかかる施設等の基準を定める条例骨子案に関する意見(パブリックコメント)を募集する。期間は来月7日(月)までで、詳細資料は各行政センター等で配布。問い合わせは、こども施設指導監査課【電話】046・822・8224
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