横須賀市は今月3日、日産自動車株式会社と電気自動車(EV)の本格普及に向けた協定を締結した。充電環境などインフラの整備や2020年にEV保有台数を10%にする、といった具体的な取り組みで「日本一のEVのまち」を目指すもの。さらに災害時のEV活用など、先進モデルを発信していく構えだ。
市と日産自動車が協定
市内では、日産自動車追浜工場で電気自動車「日産リーフ」が生産されている。同車はEV販売台数世界1位となっており、横須賀は「EVのマザー工場」を有する町として、5年ほど前から電気自動車の普及促進事業を進めてきた。
具体的には、充電器の設置促進やEVタクシー導入のモデル事業(2010〜12年度)、公用車への導入(計15台)など。現在、充電器を設置している公共機関や民間施設は市内に76カ所(122基)あり、7地区の行政センターでは、EV充電以外に非常用電源として利用可能なPCS(電力制御装置)を備えている=写真。
充電インフラ拡大
今回、締結された日産自動車との協定では「横須賀EV創生プロジェクト」と題し、充電環境の整備拡大に重点を置いている。これまでの事業は、初期需要の創出という位置付け。本格普及には「どこでも充電可能」という環境整備が不可欠だとして、同協定では数値目標を盛り込んでいる。
例えば、自宅で充電できる環境づくりとして、「集合住宅への整備」に関しては新築マンションの8割、大規模修繕物件のうち5割程度に充電器を設置する目標を掲げる。さらに、「通勤車両の電動化促進と従業員駐車場への整備」では、導入企業を100社と設定。市では、充電器設置費の5分の4を負担(上限最大100万円)し、市内の企業に呼びかけていくという。
また、5年後の2020年に、市内保有台数(約12万台、軽除く)のうち「10%をEVとする」という数値目標も定めた。現在、市内で保有しているEVは公用車を含めて約300台。市では今年度もEV購入補助を行い、事業者向けには20万円、個人には5万円を助成する。「EV車、充電器の購入・設置ともに国・市の補助金と合わせると、大きな負担軽減になる」と市担当者。充電環境の拡大を下地に、EVの購入機会を広げたい考えだ。
関連企業の活性化期待
同協定を結んだ背景には、EV関連企業を軸とした地域経済の活性化を促す目的もある。環境負荷を軽減することはもとより、本格普及が進むことで、自動車関連の通信・電気・部品・素材など市内産業への波及も大きいとされる。
さらに、災害時のEV車・充電器の電源活用など、先進的な取り組みを「横須賀モデル」として発信するなど、市のイメージ創出効果も期待されている。
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