横須賀市は、世界文化遺産に登録された富岡製糸場のある群馬県富岡市との「友好都市提携」を締結する方向で調整を進めている。近代日本の発展に大きく貢献した歴史遺産を持つ同市との親交をさらに深め、市民レベルの交流を活発化させたい考えだ。
横須賀製鉄所の建設に携わったフランス人技術者・バスチャンらにより、1872年に建てられた富岡製糸場。木骨レンガ造りの工法や、フランス式の就労形態などのルーツは、横須賀製鉄所にあると言われる。
3年前には、製糸場敷地内で「ヨコスカ造舩所」と刻印のあるレンガが出土。同施設建設時に見本として、横須賀から持ち込まれたものと推測されている。世界遺産登録を機に、日本の近代化を支えた富岡製糸場・横須賀製鉄所の歴史的価値が見直される中、両市のつながりを深めようとする動きが加速していた。
横須賀市側では昨年7月、市議有志が「富岡市との友好を進める議員の会」を結成し、友好関係の推進を提言。一方で、11月の「ヴェルニー・小栗祭式典」に出席した富岡市の岩井賢太郎市長も、観光や学術研究などでの交流発展を期待するメッセージを、吉田市長に手渡ししていた。
市では、先月28日に始まった市議会定例会で議案が提出され、委員会と本会議での審議を経て、議決する見通しだ。富岡市も、議会に議案を提出中。今年11月に市内で開かれる製鉄所創設150周年記念式典後、イベント内で締結式を行う計画だという。
現在、市が友好都市関係を結んでいるのは会津若松市。締結から10年が経ち、震災復興支援など、市民団体間での活動・交流が活発に行われている。
●富岡市はどんな街─群馬県南西部に位置し、製糸業で栄えた。人口は約5万人。世界遺産登録後、富岡製糸場へは1年間で、約130万人が見学に訪れているという。両市では、友好都市締結により、観光誘客だけでなく経済や文化面など、市民レベルでの親交を深めたいとしている。横須賀市では、製鉄所創設に奔走した小栗上野介の縁で、同県の倉渕村とも友好都市関係にあった。高崎市との合併により解消したが、現地の「小栗まつり」、横須賀の「ヴェルニー・小栗祭式典」への参加などで交流が続いている。
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