先月25日の市議会で、「中学校の昼食のあり方検討事業」予算の増額(約626万円)が可決された。当初6万円だったが「7月の方針決定後に、補正予算を組むのは遅い」という議論を受けたもの。議会内では、「スピード感」を重視する一方で、教育委員会の独自性を保ち慎重に進めるべき―との発言もある。
2月15日に発表された今年度予算。中学校昼食のあり方に関する事業費は、6万円。これ以外に、昼食や給食に関する調査費用は計上されていなかった。市長はその2日後の施政方針演説で「完全給食のニーズは高いという認識で、検討をスタートすべき時期」と話し、7月の総合教育会議で今後の方向性を判断―としている。「この事業費で、スピード感を持って対応できるのか」。議会では、先回りした予算化が不可欠という見方だった。
予算決算常任委員会での議論を経て、結果的に約626万円に増額が可決されたが、その内訳は調査・委託料。地域別・生徒数など、市内の現状を含めた調査を行うという。仮に7月に実施方針が決定した場合、この時点から(コンサルタント)業者選定などを見積り、補正予算を計上するのでは「遅い」という意見が議会内で多くを占めた。もちろん市長も「方向性が決まれば年度を跨がず、速やかに(9月議会の補正予算などで)対応する」と話している。この差は2カ月ほど。”スピード感”をどこまで求めるべきか。
「結論の押しつけ」危惧
これまで10年以上停滞していた議論が、前進することを歓迎する声も多い。同委員会では、「(事業費増額は)前に進んでいるという議会の”姿勢”を示すためのものでもある」という発言があった。これに対して、導入という”結論ありき”となっていることに「合意形成のプロセスを蔑ろにしている」という懸念の声もある。
給食の実施主体となるのは教育委員会。市長部局や市議会から独立している部署だ。同議案の反対討論では、方針が正式決定する前に調査予算を計上することは、「市教委の考え方を縛ってしまうのではないか」と危惧する意見もあった。
ニーズは完全給食にある。これはアンケート調査からも明らかだ。来年度中に全校実施となる川崎市では、方針が決まってから開始まで、約4年を要している。導入方式の議論や給食センターの事業者選定など、当初の計画よりも遅れがあるという。横須賀市でも、超えるべきハードルが多いのは事実。まずは、ニーズに寄り添い、着実に一歩一歩進めることが、市民が求めている形ではないだろうか。
|
<PR>
横須賀版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|