新型コロナウイルス感染症の拡大防止策が広がる中、これまでの事業内容とは違う商品・サービスに挑戦する企業が増えている。積み重ねてきた技術を活かしたもので、新たな分野を開拓し、「コロナ禍」による生活スタイルの変化や需要に対応していく考えだ。
市内企業、新領域に挑戦
金属加工業のANAテック株式会社(内川)が製作するのはマスクに取り付ける真鍮のプレートだ。造船や自動車関連の金属部品加工が本業。抗菌作用があると言われる真鍮をファッションアイテムとして活用できないか検討し、社員の家族が作っていた布マスクを見て、これに取り外し可能な真鍮プレートを付けることを思いついた。素材のカットやレーザーでの印字は得意分野。「これまで積み重ねてきた技術や仕事のノウハウが活かせる」と同社の安藤知史さん。「下請けで稼働する製造業は、なかなか新しい仕事を生み出しにくいが、視点を広げれば、小さなアイデアを反応させた”ものづくり”も可能」と話す。
マスク用のアクセサリーだけでなく、真鍮のプレートを封入したミサンガづくりのキットや外出時にドアノブやボタンを触らずに動かすことのできる「アシストフック」も製作。自社のECサイトを立ち上げ、販売する予定だという。
「防護具不足」受け開発
4月下旬、横須賀市が医療機関に提供した「フェイスシールド」。これを製造したのが岡田電機工業株式会社(三春町)だ。自動車のプラスチック部品の塗装・メッキ・組立などを手掛けており、個人防護具の不足について市から相談を受けて試作。3Dプリンターなど自社の持つ製造技術を応用し、約2週間で商品化した。小回りの利く対応ができるのも、自社一貫開発・製造の強み。小売りの業態は初めてで自社ホームページでは販売の特設サイトも開いた。現在は1日2000個の生産体制。「企業などから追加の注文があるなど反応が良い。(小売りは)いままでやっていなかった分野だが、製造の技術で役に立てて嬉しい」と話している。
タクシーで配達
人を運ぶタクシー業界でも新たなサービスを始めている。臨港タクシー株式会社(汐入町)は5月からデリバリーの代行事業に着手した。本業では、緊急事態宣言による外出自粛、夜の時間帯の営業自粛で売上が大幅減。4月にタクシーによる食品配送が特例で認められたことを受け、同社では「横須賀テイクアウトパートナーズ」と業務提携し、市内の飲食店が提供するテイクアウト料理を配達している。
通常、運転時にはナビを使うが、街をよく知るドライバーの”勘”にも時には頼って、早い道を選べる場面もあるという。「まずは出来ることからやっていこうと手をあげた。少しでも社会の役に立てれば」と担当者。今後は本業の状況を考慮しながら続けていく方向だ。
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