「通勤の時間はもったいない、無駄の極致だと周囲に公言していました」。だが一転、思い立って久里浜に転居を決めたのが6月のことだ。川崎市議を2期務め、選挙区内に居住。2019年に、民間企業出身の元市議らと行政と民間をつなぐ会社を起業し、渋谷にある職場には徒歩で通勤する「仕事シフト」の生活を長く続けていた。その「職住近接」のマインドが一変したのがコロナ禍。都心の自宅はもともと寝るだけの場所で、外出できず閉塞感が募るばかりだった。一方で、やってみればオンラインでも無理なく仕事ができることが分かった。
それならば「海辺に住みたい」。渋谷から2時間以内、乗り換えが少ない海に近い街―ヒットしたのが久里浜だった。同条件の「海近物件」と比べても不動産価格が安く、商業施設もあり生活環境も比較的整っている。即断で2週間後には、この街の住民になっていた。
手掛けている仕事は、官民連携事業のコンサルティングやプロジェクトの運営など。会議や打ち合わせ、自治体の審議会まで、大半がオンラインだ。「出張先の三重県で福島県の人とweb会議」ということも。地方の自治体や企業も、全国規模でつながれる。双方が時間を使って動く必要がないのだ。「人間関係のバランスは難しいが、すべてを対面で行う必要はないと思う」という考え。「地方の官民共創モデルやプロジェクトが活発化できるだけでなく、人材の活性化など(オンラインの)メリットは大きい」と話す。
「働く・暮らす」の可能性
郊外への移住は「自分の生活を通した実証実験」。地方の自治体からワーケーションに関する調査の依頼もあり、自分の身で体験してみたかった。今は週1〜2回都内へ赴くペース。オンラインでの事例を積み上げていくことで「働き方の可能性」も示していける。
もちろん、仕事上のメリットだけではない。「日常のごはんがおいしい」というのが、大きな収穫だった。生活の豊かさという物差しでいうと、食は大事。「こんなに新鮮な食材が近くですぐに買える。そこは大きな魅力」。個人のSNSでは、意識的に横須賀の食をアップ。「行ってみたい」という反響も多いという。自宅すぐの久里浜海岸で拾ったシーグラスをラッピングしてプレゼントに。「海辺暮らし」の楽しみ方を少しずつ模索しているところだ。
市議2期の経験、自治体に関わる仕事の視点から言うと、横須賀は「経済圏もあって、持っているポテンシャルは高い。地元の人が過小評価している部分もあるのでは」という見方。今後は「久里浜を含めて、都心から2時間圏内にある街の可能性を、もっと探っていきたい」
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