平作川の不法係留船問題 強制撤去も抑止ならず 現状では所有者不明船のみ
プレジャーボートが不法に係留されている平作川でこのほど、県の委託業者による強制撤去が行われ、所有者不明の17隻が一時保管場所の浦賀かもめ団地内に移送された。県は問題が顕在化した平成8年度の調査で約540隻を確認。以来、船の所有者に自主撤去を促す案内書の送付やマリーナの利用を呼びかけてきたが、これに応じる所有者は少ないのが現状だという。現在も河口から森崎橋まで約3・6Kmの間に450隻以上の船が陣取っている。
25年3月が「暫定係留」期限
不法係留船は洪水などの際に流出事故を引き起こす恐れがあるほか、景観を損ねるなどの理由から漁業者や周辺住民の苦情が絶えない。係留するために桟橋などを勝手に設置している所有者もいる。
不法係留の背景には、収容場所が不足している事情がある一方で、経済的な理由から所有できなくなり放棄状態となっている船も目立ち始めている。
平作川を管理する県は平成11年に横須賀市、自治会、警察署等を構成員とする「平作川不法係留船対策協議会」を立ち上げて対応を協議。平成15年には、委託管理者による暫定係留の実施と、係留期間を25年3月までとする取り決めをまとめている。ところが管理する団体が見つからず、適正な措置が行われないままの状態がこれまで続いてきた。
こうした一方で、県横須賀土木事務所では、平成20年度から【1】不法係留対策の周知【2】自主撤去の促進【3】強制撤去の3つを柱とする活動を展開してきた。
これまでに自主・強制合わせて120隻弱を撤去。今年度は59隻でその内の17隻が強制撤去だった。費用は1隻あたり60万円程度。県の担当者は、「6ヶ月の保管期間に所有者が名乗り出てくるようなケースはないため、廃船費用も公費で賄われているのが実情」とこぼす。加えて、暫定係留期間が25年3月までとなっていることから、「ぎりぎりまで対応を見送っている所有者が大多数」と話した。期限後については、河川内に防止ブイを設置し、強制撤去した船については所有者に費用負担を迫る方針。29年度末までに不法係留船をゼロにすることを目指している。
現在、深浦と浦賀に市の係留施設があるが、収容数は足りない状況。この問題に関して、今月2日の市議会本会議で田辺昭人議員(無会派)が「25年3月で暫定係留の期限を迎えると、他の河川や海岸に不法係留船が移動することが考えられる。保管スペースの整備など、なんらかの対応を考える必要があるのではないか」と市の考えをただした。これに対して吉田雄人市長は「平作川の管理は県。事業実施に関して県・市の役割分担を明確にするべき。(施設整備など)財政的な負担を押し付けられた場合は拒否する」と答弁した。
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