「すかりぶ」で居住満足度アップ 市と商工会議所が連携し新事業 経済活性化も視野に
横須賀市と横須賀商工会議所は、今月1日から新たな定住促進事業「すかりぶ」をスタートさせた。結婚・子育て世代をターゲットに、定住応援サービスとして子育て支援情報などを提供。「横須賀に住んでよかった、子育てしてよかった」という満足感を、定住促進につなげるのが狙い。さらには、地元経済への活性化にも期待している。
利用対象者は、市内在住で主に20〜30代、妊娠中および、18歳以下の子どもの親といった「結婚・子育て世代」。ホームページ上で利用登録を行い、協賛事業者店舗で携帯電話などの登録証(写真【1】)を提示することで、割引や優待、体験イベントなどのサービスが受けられる仕組みだ。「すかりぶ」のホームページでは、サービスを受けられる店舗や多目的トイレ・授乳スペースなどの検索に加え、子育て支援情報や子連れのお出かけスポット、ママ友づくりのコミュニティーなどのコンテンツを用意している(写真【2】)。利用登録はすでに始まっており、サービス開始は3月中旬を予定している。
キーワードは定住支援
同様の「子育て支援」のサービス事業は、県内の他自治体でも行われているが、横須賀市の「すかりぶ」は、こうした機能だけでなく、定住への満足度を高めるツールとして多角的な戦略がある。参加型・体験型のイベント企画もその一つだ。3月には、横浜F・マリノスが「親子で始めるスポーツと食育講座」を実施。今後もカフェ・ド・クルーによる「親子パン教室」など、事業者の特性を生かした体験イベントを展開していく予定だ。
さらに、「結婚世代」をターゲットにしているのも大きな特徴。市と商工会議所の婚活イベント「ヨコスカフェ」での出会い創出や、市内のホテル事業者を中心に、地元での結婚式を支援する「みんなの結婚準備室」の新設などもその一例。そのなかで、「市内の事業者が積極的に参加することで、地元経済の活性にもつなげたい」と市担当者は話す。現状での協賛事業者は18社だが、問い合わせも多く、サービス業に限らず関心は高いという。
こうした事業を始めた背景には、人口減・少子高齢化といった切実な問題がある。今年1月現在、横須賀市の人口は約41万5千人。月によって多少の変動はあるが、平成6年をピークに減少傾向が続く。転出抑制、定住促進の事業として、2008年から「ファーストマイホーム応援制度」を実施。子育て世代が市内で初めて住宅を取得する際に、一定の助成を行っている。開始4年目で3317件(昨年12月末現在)の申請があったが、市内から市内への移動が7割以上を占める。「転出を抑制し、市内で長く住みたいという満足度を高めることで、中長期的に見て『横須賀は子育てしやすい街』というPRになるはず」と市担当者。こうした制度を含め、定住支援を強化していく方向だ。「すかりぶ」に関する問い合わせは市政策推進課【電話】046・822・9284へ。
県内でも「子育てカード事業」に乗り出す自治体は多い。横浜市では4年前から、アンパンマンをキャラクターに据えた「ハマハグ」を展開。対象は小学生以下の子どもを持つ親などで、外出先の設備や備品、優待サービスなどの提供が中心。そのほか、藤沢市は「ふじさわすくのびカード」、厚木市は「子育てパスポートAYUCO」、綾瀬市は「すくすくパスポート」、相模原市は「子育て応援店」といった事業を行う。神奈川県でも今月から、「かながわ子育て応援パスポート」事業を開始。いずれも企業の協賛を受け、登録証(カード)を提示し子育て支援サービスを受けるというシステムだ。子育て環境の向上といった目的が大きく、定住促進や地元の経済活性にも目を向ける「すかりぶ」は新しい試み。今月19日(日)には、横須賀モアーズシティでスタートイベントを実施、利用の登録もできる(午前11時〜)。
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