高校総体県予選男子サッカー 三浦学苑 念願の全国へ
全国高校総体(インターハイ)男子サッカー大会に、三浦学苑が初出場することが決まった。今月23日に行われた神奈川県予選準決勝で桐蔭学園に3-0で勝利、翌24日の決勝では桐光学園に1-2で敗れたが県勢2位の結果で代表の切符を掴んだ。三浦は創部33年目にして初めて全国の舞台に立つ。チームは昨冬の全国選手権県予選で準優勝、今春の関東大会でも県代表として出場するなど着実に進歩を遂げ、名実ともに強豪校の仲間入りを果たしていた。そして、「全国出場」を最大の目標に掲げて挑んだ今大会。その思いは、見事に結実した。
主導権は三浦
準決勝の対戦相手、桐蔭学園は昨年のインターハイの覇者。三浦学苑は格上の相手にもひるむことなく積極果敢に挑み、身上とする「パスでつなぐサッカー」でゲームの主導権を握り続けた。
チャンスが訪れたのは前半19分。キャプテンの栗原奨吾選手(3年)のコーナーキックを若林大輝選手(3年)がきっちりと頭で押し込み先制。「これが試合の流れを呼び込んだ」(栗原選手)。その後も鋭い突破を何度も見せ、相手に攻める隙を与えなかった。
後半も圧倒的な三浦ペース。10分には攻守の要である木村哲太選手(3年)が放ったシュートがゴールネットを揺らし、35分には俊足ドリブラーとして知られる野村徹選手(3年)がダメ押しの得点、試合を決定的にした。押せ押せの展開は、桐蔭4本に対して三浦15本というシュート数が物語っていた。
この日、スタンドで声援を送っていた同校サッカー部OBの吉本洸太さん(平作在住)は、「相手にシュートチャンスをつくらせない。守備に安定感がある。去年まで一緒にプレーをしていたが、まるで別のチームのようだ」と後輩の成長ぶりに目を見張った。吉本さんと同期だった佐藤健太さん(大矢部在住)も、「三浦流の『パスサッカー』に磨きがかっているのに加え、個々の能力も際立っている。これなら全国でもイケル」と褒め称え、全国出場決定に満面の笑みを浮かべていた。
県制覇の壁高し
続く決勝の桐光学園戦でも三浦の勢いは続いていた。
前半に宮坂瑠選手(3年)が先制点をもぎ取り、ペースを掴みかけたに見えたが、個人力・総合力で勝る桐光の猛攻に防戦一方。疲れが目立ち始めた後半には2失点を許し、そのまま終了の笛が鳴った。
準決勝・決勝を振り返って米山稔総監督は、「桐蔭、桐光という県内2強の内の一角を崩せたことは素直にうれしい。全国出場という念願が叶った。その一方、決勝の桐光戦で露呈したのがフィジカル面の弱さ。全国の強豪と伍して戦うにはこの部分をしっかり鍛えなければならない」と課題を口にした。
とは言え、三浦の強さは本物だ。ここ数年は県大会で毎回優勝争いに絡むポジションをキープ、安定した成績を収めている。
背景には学校の強力なバックアップ体制がある。3年前に完成した夜間照明を供えた人工芝グラウンドは、練習環境を飛躍的に向上させた。これにより、高いレベルでトレーニングしたい選手の入部が加速。今年は60人の新入部員を迎え、総勢120名を超す大所帯となり、選手層の厚みが増した。今回の全国出場はさらなる飛躍の通過点、チームは発展の途上でまだまだ伸びしろを持っている。
インターハイは7月29日(日)から。県内から三浦と桐光の2校が出場。試合会場は長野県松本市ほかとなっている。
「声」で支えた
全国への切符を掛けた準決勝に三浦学苑では、全校応援の体制で臨んだ。チャーターバス15台で駆けつけた総勢900人の生徒と保護者、サッカー部OBらがスタンドから声援を送り、ピッチに立つ選手を鼓舞し続けた。
試合後、木村選手は、「みんなの声があったから最後まで走り続けることができた。一体感も感じた。とても感謝している」と話していた。
夢叶った「地元から全国」 ───米山 稔総監督
▼サッカー部の顧問に就任して20年目。節目の快挙に喜びをかみ締める。昨冬はあと一歩にまで迫りながら、全国出場を逃した▼年が明けて選手らと誓ったのは、「今年こそ絶対」。主力メンバーは怪我からの復帰が遅れ、新チームは苦しい滑り出しとなったが、春の沖縄遠征試合では、全国の強豪チームと互角の戦いを演じるまでに成長。「ここでの経験が大きな自信になった」▼自身は高校時代、サッカーに集中できる環境を求めて横須賀を離れた。通学面などで苦労した経験から「地元から全国を狙えるチームをつくりたい」。夢のひとつがようやく形になった。 《浦賀在住・45歳》
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