ひとり親の自立を支援 面接用スーツを無償貸与
横須賀市は11月1日から、「シングルマザーの就職面接用スーツの貸出事業」を開始する。今年7月にスタートしたひとり親の自立支援拡充策の一環で、市内企業からのスーツ寄贈の申し入れを受けて実現した。今後、市は将来にわたって安定した生活を維持できるよう、給付型の支援から自立を促進する施策の拡充を図りたいとしている。
離婚などで片親からの養育を受ける子ども(満18歳まで)を扶養する世帯に支給される、児童扶養手当。平成17年に3589人だった市内の同手当受給資格者は、平成23年度には3921人。そのうち約3500世帯が援助を受けている。横須賀と同規模の人口を抱える藤沢市の23年度の受給資格者は2725人で、厳しい経済状況を表している。
これまで市が行ってきたひとり親家庭への支援は、児童扶養手当を始め、医療費助成、通勤定期券の割引、資格取得講座の受講料一部給付など経済的な負担軽減が主だった。今年7月には、支援施策を追加。生活基盤の長期的安定、自立促進を目的に、就労や転職に関するサポート事業を始めた。
市こども青少年給付課では、キャリアコンサルタント資格を持つ専門の就労相談員が対応。個人の能力や性格、経験、要望に合った求人情報の提供、履歴書の書き方から面接、資格取得のアドバイス、公共職業安定所や採用面接への同行もしてくれる。
昨今は、パソコン操作を基礎能力として求める企業が大半を占めていることから、無料保育付きのパソコン講座を主催するなどサポートは手厚い。同課担当者は「事業開始4カ月で相談者は約60人、10人以上の就職が決まった。手応えを感じている」と話す。
就職相談の中で多かったのは、「どんな服装で試験に臨めばいいのか分からない」「最低限の生活を維持することも困難で、スーツを用意できない」という悩みの声だった。服装が理由で就職活動に気後れしたり、試験に落ちてしまうケースもあることから、市は横須賀商工会議所を通じて市内の企業に打診。衣料品の納入販売を行う東光商事株式会社(根岸町)より、女性用スーツ6着の寄贈の申し入れがあった。先月29日には、目録と感謝状の贈呈式が行われ、吉田雄人横須賀市長は感謝を述べた。
貸出対象は、市内在住の母子家庭で児童扶養手当の受給者や、ひとり親家庭等医療費助成制度の利用者など。サイズは7号〜17号で、最長10日間無料で借りられる(事前予約制)。
当事者同士の支え合いも
1人で子育てをする親の支援を行う自助グループ「よこすかひとり親サポーターズ・ひまわり」は、本年度から市の委託事業に取り組む。精神的に不安定で、社会から孤立しやすいと言われるひとり親の交流会を開く。同じ境遇の悩みを共有し、情報交換し合いながら新しい人間関係を築いている。同会代表の寺田由美さんは、「離婚、死別、未婚などケースは様々」と語る。米海軍基地がある土地柄、外国人に関連する相談も多く、支援ニーズの多様化を指摘。今後はさらに複合的なサポートが求められる。
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