横須賀マリンFC 社会人リーグに初参戦 来月7日 佐原でキックオフ
今年1月に発足した社会人サッカーチーム「横須賀マリンFC(フットボールクラブ)」が来月7日(土)、初めての公式リーグ戦(県3部リーグ)に挑む。当面の目標である「関東リーグ参入」に向け、いよいよ本格的なスタートを切る。
三浦学苑高校のインターハイ優勝や浦賀中学校の全国大会出場など、市内のサッカーレベルは年々高まっている。しかし高校卒業後、高い水準でプレーできる環境が少ないことが、将来有望な選手の市外流出の原因として挙げられていた。
そこで、横須賀サッカー協会が地元のサッカーの普及・発展を目的に、今年1月末に新チームを設立。入団資格は同協会の所属チームに在籍しているか、在籍経験のある18歳以上の選手。数回の選考会を経て、強豪校として知られる三浦学苑高校のサッカー部OBなど18〜34歳の18人が立ち上げメンバーに選ばれた。4月には、チーム名が横須賀の海を連想させる「マリンFC」に決定。かながわ信用金庫やウスイホームなど、地元企業数社がスポンサーとなり活動を支援する。
チームは県3部リーグから始め、2部、1部と昇格をめざし、その上の関東リーグを視野に入れる。県3部のリーグ戦は今月17日から始まっており、同チームは来月7日(土)の初戦を皮切りに、10月まで10チームと総当たり戦を行う。
若さと経験 武器に
チームの特徴について、関係者が口をそろえるのは「若さと経験、両方兼ねそろえていること」。メンバーの平均年齢は23歳。高校を卒業したばかりの選手も在籍し、若さ溢れるパワーが強みだ。しかしその反面、技術の粗さや試合経験の少なさはいなめない。それを補うのが、JリーグやJFL経験者の石川扶(たすく)選手(GK)や田丸誠選手(MF)たちだ。プロチームで経験してきた技術や戦略を、練習を通してつぶさにメンバーに伝える。石川選手は「自分はGKなのでメンバーの動きが一番わかる。ピッチに立ったら自分が監督の意志を代弁できるよう意識している」と話す。星川徹監督は「サッカーは逐一サインを出せないスポーツ。試合中は自分たちで考えて動けるよう普段から指導している」と”選手主体”の方針を打ち出す。
月2回、関東2部リーグのサッカークラブと練習試合を行っている同チーム。横須賀サッカー協会の副理事長も務める同チームの井上透代表は、「悔しいけれど今は格上チームに太刀打ちできないのが現実。技術的には未熟だが、『サッカーを楽しみたい』という純粋な気持ちで奮闘してほしい」と激励する。
星川監督はチームの課題として「攻守の切り替え」を挙げる。試合では、体力面だけでなく精神面での切り替えも求められる。めまぐるしく変わる状況を瞬時に把握し、すぐに適切なプレーに移す判断力がリーグ戦を通して必要になってくる。「2年で県1部に昇格し、7年後には関東リーグへの参入が目標」と意気込みを語った。
Jの経験 伝えるのが使命GK 石川扶(たすく)選手(29)
「本当はゴールキーパーなんてやりたくなかったんですよ」。中学2年生の時、突然言い渡されたポジションの転換(コンバート)。「監督の意図が分からなかった。自分は点を取りたかったし、今までの頑張りを全否定されたような気がした」と悔しかった当時を振り返る。
サッカーを始めたきっかけが日本代表にも選ばれている兄・直宏の影響なら、いつも比較の対象になるのも兄だった。奇しくも次兄の貢も元サッカー選手。「昔からとにかく上手かった兄たち」が常にそばにいることで、劣等感には慣れたものだった。その後、県立逗葉高校サッカー部ではレベルの高い仲間たちと切磋琢磨。現在横須賀マリンFCで一緒にプレーする田丸誠選手とは同級生で、高校、大学、アローズ北陸と同じ道を歩んできた。2010年からは松本山雅FCの正GKとして頭角を現すが、怪我に悩まされるシーズンでもあった。2012年に現役を引退。横須賀マリンFCへの入団の決め手は、「創設7年で関東リーグをめざす」というチーム目標が自身の方向性と重なったから。現在は中学時代を過ごした「横須賀シーガルズFC」でプレーしながら、マリンFCでも存在感を放つ。
練習では、人一倍声を張り上げる。経験的に発展途上だからこそ「積極的に声を出すようにしている。GKの仕事でもあるし、今のチームにはそれが必要」。照明完備のスタジアムを使用できるなど、練習環境に恵まれていることを、経験の浅いチームメイトに日頃から伝える。「恵まれている分、応えなきゃ」。発足4カ月の新チームはどんな活躍を見せてくれるのか。横須賀サッカーの盛り上げ役として期待を背負う。
■横須賀シーガルズ-逗葉高校-桐蔭横浜大学-アローズ北陸(現カターレ富山)-FC刈谷-松本山雅FC
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