明治・大正期に建設され首都防衛の機能を果たした、猿島砲台跡と千代ヶ崎砲台跡。この2つが今月10日付けで「東京湾要塞跡」として、国の史跡に正式指定された。市内の史跡では三浦按針墓と夏島貝塚に続いて3例目。これを受けて横須賀市は、今後の整備・活用方策を検討。文化的価値を発信していく。
猿島砲台は、東京湾の守りの要として明治17年に築かれた陸軍の防衛砲台の1つ。今も島内には砲台のほか、弾薬庫や送電施設、隧道などが数多く残されている。千代ヶ崎砲台は同28年に竣工。現在は防衛省が所有している。これまで一般公開されておらず、保存状態は極めて良好。築造当時の面影をとどめる貴重な遺構だ。
昨年、市は国指定史跡への登録を申請。「近代の軍事、土木・建築技術の歴史を知る上で重要である」として文化審議会を経て、文部科学相に答申していた。正式指定を受けたのは、今月10日。近代以降の軍事関連遺跡としては全国で初めてとなる。
活用具体策を検討
横須賀市は先日発表した今年後当初予算案などで今後、2史跡の保存活用を積極的に推進すると明言。猿島は「エコミュージアム」として位置づけ、航路運航業者と新たな企画を検討。来月から徴収する入島料を環境整備費にあてて、充実を図る。千代ヶ崎砲台跡は、活用に関する新規事業計画を策定(421万円)。事業内容はパンフレットの作成と今年7月以降に月1回の特別公開などが盛り込まれている。将来はガイドスタッフを養成し、観光資源として活用していく構え。
先月1日には、史跡指定を記念したシンポジウムが開かれ、有識者や文化庁・市職員がパネリストとして参加。「単に遺構を守るだけではなく、利活用の具体策をきちんと考えるべき」など、保存と活用について意見が交わされた。
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