「自然の光が入ってくる会場、一度は展示してみたいと思っていた」。横須賀美術館で先月から催されている第2期所蔵品展で特集されているのが、高木修さんの立体造形やドローイング、計16点だ。
「自由」の追求
栃木県生まれの75歳。自由とは束縛とは―そんな哲学的な問いを巡らせるようになったのは、中学時代のこと。自身の「表現」の手始めは油絵だった。その後、現代美術の世界に出会うことになるが、きっかけは、高松次郎氏の作品。前衛芸術の分野で、アートと言われる従来の枠を大きく打ち破る活動に共鳴し、同氏の主宰する「塾」で学んだ。「高松さんから白い紙を渡されて。それが原点」。哲学者の市川浩氏にも師事し、自らの身体を使った表現にも乗り出した。70年代前半には、ゲリラ的に新宿や都内の街角でパフォーマンスを仕掛けたこともあった。
創作活動は、建築雑誌の編集の仕事をしながら。表現の手法は、写真や映像から造形と「できるものは何でも挑戦していた」。近年では、美術家集団「ABST」(abstraction/抽象的)を立ち上げ、グループ展など精力的に活動する。現代社会に対する問題意識、場所や時間・身体との相互の関係―これらを作品を通して模索。素材もガラスや鉄、木材から近年ではアクリル、エキスパンドメタルなど哲学とシンクロさせながら、空間表現を試みている。
横須賀美術館の展示会場手前には、師である高松氏の作品も並ぶ。今回の16点は、いずれも「Untitled」と振られているのみ。それは、ドイツの建築家の言葉―「less is more」(より少ないことは、より豊かなこと)にも起因するもの。どのように観賞すればよいのか―?との問いには「天井の高さや空間の広さと作品の素材や存在感。捉え方は見る人の感性に委ねたい」と語った。会期は9月29日(日)まで。
「創作に没頭できる」
「作品を造っても、置き場所がなくて」と、探し求めて辿り着いたのが佐島の地。「海のない県で育ったから、憧れもあって」。ここで暮らして20数年、「夕日がきれいで、静かでのんびりできる。創作にも没頭できる環境」とほほ笑んだ。
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