城ヶ島大橋 渡橋無料化へ前進か 県議会が請願を採択
地元団体や市民らが署名などの活動を続けていた城ヶ島大橋の渡橋料の無料化について、このほど地元からの請願書が県議会に退出され、本会議で全会一致で採択された。県側は財政が苦しいことなどを理由に消極的な姿勢を示しているが、「ひとつの壁を越えた」とし、関係者らはこれまでの経緯と感謝のコメントを発表した。
城ヶ島大橋は、1957年に着工。総工費7億1500万円をかけて、1960年4月に開通し供用が始まった。全長575メートルで、海面からの高さは16から23・5メートル。
三崎漁港の管理を目的とした漁港施設道路として位置づけられ、県東部漁港事務所が管理。県漁港管理条例に基づき、普通車100円(3ナンバー150円)など、渡橋料が徴収されている。事業費は23年間をかけて償還されたが、橋の維持のためとして現在も徴収が続けられている。
徴収は観光客だけでなく、島内住民は表向きはパスにより無料とされているが、宅配や運送などをはじめとする業者の業務上の往来や幼稚園のバスの送迎の際などには徴収されるほか、島外で生活している出身者が実家に里帰りする際にも徴収されているのが実状で、地元では「すでに51年も経っているのに、いつまで続くのか」と、無料化を求める声が強まっていた。
そこで、城ヶ島観光協会や城ヶ島区内の関連企業、三浦商工会議所、市民が中心となり陳情を出すための署名活動を開始。今年8月30日に4万6178人の署名を添えて、吉田英男市長と岩野匡史市議会議長あてに陳情書を提出。9月30日に開かれた市議会本会議で全会一致で可決され、「城ヶ島大橋の渡橋料無料化を求める意見書」が、市議会議長名で黒岩祐治神奈川県知事に対し提出された。
意見書では、「有料道路は建設費が償還されれば無料化されるものであり、県内で他の有料道路が無料開放された事例を考えると城ヶ島大橋も無料化するべき時期が来ている。城ヶ島大橋の建設目的は漁港の管理であるが、実態は城ヶ島での生活や経済活動、観光来遊客の利用など、他地域の一般道路と同様な機能を担っている」とし、来遊客誘致や経済活性化促進のために、渡橋料の無料化を強く要望するとした。
また、これとあわせて地元選出の木村謙蔵(三浦市)、竹内英明(横須賀市)、牧島功(同)、亀井たかつぐ(同)、大村博信(同)の5県議を紹介議員として、青木良勝城ヶ島観光協会会長、石橋勝己城ヶ島区理事、鈴木明三浦商工会議所専務理事が代表で9月12日に県庁を訪れ、県知事・県議会議長あての「城ヶ島大橋渡橋料無料化についての請願書」を4万1214人の署名とともに、黒川雅夫副知事に提出。同請願は、県議会環境農政常任委員会において全会一致で本会議に委託され、10月14日の県議会本会議で同じく全会一致で採択された。
今後県議会から執行行政機関である県環境農政局に審査結果が通知されるという。
財政不足理由に県は消極姿勢
しかし、10月に黒岩知事が城ヶ島を視察に訪れた際、地元関係者との会話の中で知事は非公式ではあるが、住民らの生活上でも徴収されている現実を認識せずに「もっと魅力を発信して観光客にたくさん来てもらい渡橋料をより多く徴収する方がいいと思う」と発言し地元の反発を強めたといい、また、副知事も請願書提出の際に「県も財政的に苦しいのが現状で」と消極的な発言が出るなど、温度差が感じられ、今後まだ先行きは不透明だ。
だが、地元関係者らは請願が県議会で採択されたことで、「ひとつの壁は越えた」と評価。これまでの経過報告とともに、「理解し賛同をいただいた方々に感謝したい。最終的な結果が得られるまで活動を続けていく」というコメントを先月末に発表した。
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