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三浦版 公開:2012年1月1日 エリアトップへ

「あったかいまち」の実現へ 吉田英男市長に新年の展望を聞く

公開:2012年1月1日

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市政について語る吉田市長
市政について語る吉田市長

 本紙では恒例の新春特別企画として、吉田英男市長へのインタビューを実施。市長は2012年について、財政が非常に厳しい状態にあり引き続き職員一丸となって行財政改革に取り組む一方、将来をしっかりと見据えた計画を勇気を持って策定していくと語った。

昨年は災害対策・被災地支援の年に

 -まずは、昨年を振り返っての感想からお願いします。

 「昨年は、障がい者通所施設の開所など、長年の懸案事項が達成された年でした。

 また、財政状況が厳しい中ですが工夫を凝らして、南下浦土曜サービスセンターをスタートさせると同時に、南下浦・初声市民センターの月曜開館も始めました。市民の皆様に便利にお使いいただいていると思います。

 限られた財源を重点的に配分した項目の一つである子育て関連施策についても、小児医療費の助成対象を段階的に引き上げることにより、子育てに係る負担軽減を図りました。

 重点施策として取り組んでおりますシティセールスについては、東日本大震災の影響を受けつつも粘り強く取り組み、営業活動の成果が顕われております。

 東日本大震災の影響等により停滞している経済状態を活性化するために、住宅リフォーム助成制度を補正予算により実施し、早急な対応を図りました。

 懸案事項である二町谷埋立地の売却については、沿岸域における企業の設備投資意欲が戻らない中、地道なPR活動が大切な時期ととらえて粘り強く営業活動を続けております。

 効率的な行政運営を目指した広域行政への取り組みについては、消防の広域化、ごみ処理の広域化ともに、着実に進んでおります。

 市立病院の経営改革も総病院長のもと順調に進み、平成22年度決算においては純利益をあげることができました。

 11年も人口の減少やさらなる高齢化など、三浦市を取り巻く環境は一段と厳しさを増したと感じていますが、このような状況の中でも、新規施策や重点施策について確実に取り組み成果を上げることができたと思います。

 また、昨年を振り返るとき、東日本大震災について欠かすことができません。3月11日に発生した東日本大震災からまもなく1年を経過しようとしていますが、未だに被災地は復興の途上にあります。2011年は日本国中がそうであったように、三浦市でもこの震災により、市内の災害対策や被災地支援が大きなテーマとなった1年でした。

 震災当日には、三浦市においても直ちに災害対策本部を設置しました。その後、避難所を開設し、市民の安全の確保および帰宅困難者を保護するとともに、寸断されたライフライン等の情報収集に努め、正しい情報を的確かつ迅速に市民や避難者に伝えるため、多くの職員が夜通し対応に当たりました。

 この震災では、福島第一原子力発電所の事故による放射能漏れが深刻な問題となりました。市内においても特に放射能汚染が心配される子どもの安全を守る視点から、マイクロスポットと想定される場所を含む学校施設や公園などの大気中の放射線量測定を行なうとともに、独自に水道水および汚泥の測定も行なっています。これまでの測定結果は環境省の基準値を全ての項目で下回っています。

 さらに、神奈川県が実施する農水産物等の測定結果のうち、三浦市産および近隣産で測定が行なわれたものを三浦市ホームページ上で公表するなど、市民が安心していただけるよう適切な情報発信にも努めてきました。

 これらのような市民の生命を守るための取り組み以外にも、42名の職員を、被災地の避難所運営や行政支援のために派遣しました。

 この活動は今後も可能な限り継続していきたいと考えています」

過去にないほどの厳しい財政状況

 -今後の財政運営についての考え方は。

 「三浦市が将来にわたり健全な財政運営を図っていくためには、土地開発公社の解散は避けては通れないものでしたが、『第三セクター等改革推進債』の発行額は104億9千3百万円と巨額であり、2040年度までの30年間にわたって償還していかなければなりません。特に最初の10年間は毎年約6億円弱を償還していかなければならないという厳しい状況です。

 2012年度当初予算編成を行なうにあたっての財政見通しにおいて、歳入のうち市税に関しては、東日本大震災の影響もあり景気回復は見込めず、加えて、人口減や固定資産の評価替えの影響もあり、市民税や固定資産税等の基幹税を中心にさらに大きく減少する見込みです。

 歳出に関しても、扶助費をはじめとする社会保障関係の経費の増加は避けられない状況にあり、さらに第三セクター等改革推進債の元金償還額が約1億8千万円増加するため、現時点の財源不足額は約12億3千万円と過去に経験したことのない厳しい財政状況に直面しています。

 このような状況は三浦市の財政が一刻の猶予もないほどの非常に厳しい状態に置かれていることでもあり、そのことを改めて認識して、将来を見据えた財政運営を行なうために、2009年に公表した『緊急緊縮財政宣言』を今後も継続することを改めて表明し、市民の皆様にも三浦市の現状を把握していただいた上で、健全化に向けた取り組みを行なう必要があります。

 2010年9月22日には、緊縮財政運営を押し進めるため、庁内に『三浦市財源対策検討委員会』を設置し、あらゆる歳入確保策、歳出削減策を検討しております。

 『脱・イエローカード』に向けて、引き続き職員が一丸となって行財政改革に取り組んでいく意思に変わりはありません。

 市民の皆様にご負担をかける場面もあるとは思いますが、将来的な財政健全化のための取り組みであることをご理解いただき、なにとぞ、ご協力をお願いいたします」

将来見据えた計画を勇気を持って策定

 -12年度の施策・取り組みを教えてください。

 「2012年度は次期総合計画の策定年度です。将来をしっかりと見据えた計画を勇気を持って策定してまいります。

 今回の震災は津波の猛威が被害を拡大させました。三浦市は三方を海に囲まれた立地にあり、津波の脅威への対応は三浦市の災害対策の最重要事項となります。そのためには、三浦市地域防災計画の見直しが急務になります。神奈川県が再検証している津波浸水予測図に基づき策定する防災計画と整合を図るため、市の防災計画を見直します。また、市として新たに津波ハザードマップを作成し、配布することを計画しています。

 地域でも景気低迷が長引いていますが、三浦市経済の活性化につなげるために住宅リフォーム助成事業を引き続き実施するとともに、経済対策とふるさと納税の活性化を目的としてふるさと納税地元特産品タイアップ事業を行ない、三浦市特産品のPRにも努めてまいります。

 懸案事項でありました県立三崎高等学校跡地につきましては、利活用に向けた一歩を踏み出し、(仮称)市民交流拠点整備事業の事業者を現在募集しています。今後は、提案内容を審査し、具体的に利活用していく考えです。

 福祉施策では、2012年度も引き続き小児医療費の助成対象年齢を小学校3年生まで引き上げるなど、近隣他市に劣らない施策を目指します」

城ヶ島をさらに魅力あふれる地に

 -特に、三崎・城ヶ島地区の活性化策についてのお考えは?

 「観光施策として、引き続きシティセールスに注力するとともに、多くの観光資源を持つ城ヶ島をさらに魅力あふれる観光地とするため、地元自治会・商工関係団体・神奈川県と三浦市との協働により、『魅力あふれる城ヶ島創造プラン』をとりまとめました。

 プラン実践の第一弾として、昨年10月に三崎港町まつりの城ヶ島会場を開設し、城ヶ島の新たな名物として地元の方々が協力して考案された、「ウツボ料理」の試食会も行なわれ、大変な賑わいを見せました。

 また、昨年12月には神奈川新聞社・神奈川県・三浦市が協働して、「最高、さあ行こう!ロハスなまち三崎・城ヶ島へ」と題したシンポジウムを市民ホールで開催し、多くのお客様や市民の皆様にお越しいただきました。シンポジウムをきっかけとして、地域の皆様と市をはじめとする関係者とが協働し、ますます城ヶ島の魅力を生かすための取り組みを進めてまいります。

 また、恒例行事として定着している1月の水仙まつり、6月のあわびまつり、7月の白秋まつり碑前祭、8月の伊勢海老まつり、9月のすすきまつりなどに、新たな要素を加えるなど魅力を高める工夫をしてさまざまな取り組みを進めてまいりますので、今後の城ヶ島にぜひご注目いただき、多くの皆様にご来遊いただいて、城ヶ島の魅力をご堪能いただきたいと思います」

 -最後に市民に向けての新春のメッセージをお願いします。

 「本年も私の信条とする『シンプル・スピード・サービス』という基本理念に基づきながら、市民の皆様、三浦市に来られるお客様の誰もが「あったかいまち」と感じていただけるようなまちづくりを続けてまいります。

 市民の皆様の変わらぬご支援、ご指導を賜りますようお願い申し上げますとともに、皆様の本年のご健康とご多幸を祈念いたします」
 

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