高齢者ドライバーの危険運転に関する報道が相次ぐなか、三浦市内でも高齢者が絡む交通事故割合が増加傾向にあることが分かった。昨年、三崎警察署管内で発生した交通事故のうち4割以上を占めており、その割合は年々拡大。一方で、昨年末頃から免許証を自主返納する人の数も増加しており、県警は運転に不安を持つ高齢者へ返納を呼びかけている。
三崎署の統計によると2016年に管内で発生した人身事故件数は、前年比8件減の140件だった。そのうち高齢者が絡む事故は61件で、全体の43・6%を占めた。県下でも2万7091件(前年比1220件減)で、事故数そのものは16年連続で減少しているが、高齢者が絡む事案は横ばいまたは増加傾向のため、結果的に全体に占める割合は増加しているという。
昨年10月に起きた横浜市港南区での事故以降、三崎警察署では免許の自主返納が増えている。16年の自主返納者を月別にみると、11月が15件、12月が14件。特に今月はまだ半ばすぎにも関わらず、すでに15人(速報値)が返納を行ったという。痛ましい重大事故が全国で相次いでいることが要因とされており、「連日の報道を見て、運転を不安に感じる人が増えたと同時に、自主返納制度そのものが認知されてきたためでは」と同課は分析する。
自主返納者には身分証明証として使える「運転経歴証明書」を発行。協賛企業や団体で提示すると割引サービスなど特典が受けられるメリットがある。
一方で「安全を心掛けているが、ドキッとしたことはある。ほぼ毎日走るいつもの道と長年の運転経験もあるからなのか。事故のニュースを見るたびに他人事ではないと感じる」と話すのは、市内在住の82歳の男性。しかし、畑作業や買い物、通院など車での移動は不可欠で危険意識はあるものの「やむを得ない」と吐露する。バス停や駅までの道のりが遠く、タクシーは経済的負担が大きい。こうした生活の足が失われることを懸念し、免許返納に二の足を踏む人は多い。また、運転しなくなることで外出機会が減り、社会的孤立を深めてしまうこともあるという。
法改正で未然防止
今年3月には、高齢者ドライバーによる事故の未然防止を目的に改正された道路交通法が施行される。75歳以上を対象に、運転免許更新時に記憶力や判断力など認知機能の検査を実施。認知症の恐れがあると判定された場合は、医師による診断が義務付けられ、認知症と診断されれば免許取り消しや停止の措置が取られる。そのほか認知機能の低下が起因する逆走や信号無視などの交通違反をした際も、検査を受けなければならない。
県警では今後も交通安全のイベントや戸別訪問などで、高齢ドライバーに免許を自主返納するよう呼び掛けていくほか、高齢者を守る取り組みを推進するとしている。
三浦版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|